パキスタンの研修員、日本の大学の取り組みを学ぶ〜障害を持つ学生と共に学べる環境作りから社会参加を考える〜

パキスタンから来日した行政官・障害当事者を含むNGO団体からなる研修員が日本の大学を訪れ障害を持つ学生への支援について学びました。

東洋大学は、障害を持つ学生を受け入れ、学習面他日常生活においてできるだけスムーズに大学生活を送れるよう、様々な支援と努力を行っています。
4月9日から25日まで日本で実施されている「パキスタンにおける障害者の社会参加促進コース」は障害者の社会参加のための政策を自国で発展させ、行政官と障害当事者を含むNGO団体が協力してその政策の改善のための能力を強化することを目的に実施されています。4月20日、日本の高等教育の現状を学ぶために14名の研修員が東洋大学を訪問しました。

学生とのディスカッション

学生とのディスカッションの様子

研修員は、障害を持つ学生とその友人である障害を持たない学生を会しディスカッションを行いました。
障害学生を実際に支援しているある学生からは「最初に障害のある学生が授業を受けているのを見たときは正直みんな驚きを隠せなかった。しかし時間が経つにつれ、みんなが自然なサポートができるようになりお互いを知ることができた。」と語っていました。

バリアフリー推進室訪問

拡大読書機について説明を受ける研修員

続いて研修員は学内にあるバリアフリー推進室を訪れました。バリアフリー推進室は障害のある学生から支援のニーズを聞き取り、学生支援課、各学部の教務課、学部の教授陣、そして就職・キャリア支援課などあらゆる部署と連携し、どのような支援を行えばその学生が学習面あるいは日常生活面において障害を理由とした困難を克服できるのかを調整することを目的に設立されました。また、同室では一般の学生に啓発活動を行い、障害のある学生を支援する人材育成にも力を入れています。
さらに全盲の学生にはコンピューターの画面を音声で読み上げるソフトが搭載されたコンピューターの貸し出しや点字でのテキストの提供、弱視の学生には拡大文字のテキストの提供、聴覚に障害のある学生には補聴器の貸し出しなど、いろいろな支援機器を提供することで人による支援と物による支援の二方向から支援を行っています。

授業見学

最後に研修員は一般の授業を見学しました。そこでは大教室で車椅子の学生やストレッチャーで寝たきりの学生が障害のない学生と共に授業を受けている姿を垣間見ました。

自国の障害者の高等教育機会の拡大に向けて

東洋大学での視察を通して、どんなに重度の障害であっても、大学で障害のない学生と共に学び大学生活を楽しめる日本の大学教育の現状を学ぶことができました。このことは研修員たちが自国の大学で障害学生受け入れの環境を整備するための出発点となるでしょう。

人間開発課 定家陽子 (2015年4月)