早稲田大学で宇宙の研究に没頭する長期研修員〜インドのスーヴォさん〜

アメリカおよびイギリスの研究者とともに(前列右端)

宇宙の「暗黒物質」の謎を解明したい
 〜子供の頃からの夢をかなえるために研究に没頭〜

JICA東京が所管する首都圏近郊には、現時点で300人近くの長期研修員(日本の大学での修士課程および博士課程に在学中)がいらっしゃいます。長期で日本にきている研修員が無事に学位を取得して帰国するまでに、定期的にスタッフが面会をしてその様子をうかがいます。

今回はインドから2013年の秋に来日したスーヴォさんを紹介します。
スーヴォさんは、インドでの修士課程卒業後すぐに、JICAの「インド工科大学ハイデラバード校(IITH) 日印産学研究ネットワーク構築支援プロジェクト(通称:FRIENDSHIP Project)」の一環にて、早稲田大学で学ぶために来日しました。同プロジェクトは、日本の大学や産業界との学術・研究分野における研究・人材交流を行うことにより、IITHと日本の産学研究ネットワークの構築を図ることを目的とした JICAのプロジェクトです。

実際のCALET。650Kgもあるそうです。

スーヴォさんは現在、2015年8月に種子島から打ち上げられたロケットで宇宙に運ばれたCALET(宇宙電子線望遠鏡)から送られてくるデータを使って、宇宙の「暗黒物質」の研究をしています。暗黒物質は、宇宙の24パーセントを占めると考えられ、観測が困難な仮説上の物質で正体は不明です。

鴨川でのサマーセミナー(前列右から3番目)

スーヴォさんの父も物理学者で、非常に幼い頃から、星空と宇宙に興味を持ったそうです。インドの大学では、暗黒物質にかかる理論を勉強していましたが、早稲田大学にきてからは、より実験的な学習内容になったそうです。最初の半年は、新しい装置や実験道具に慣れることが難しかったとお話しされていました。現在では指導教員を含めた日本人2名、ドイツからの研究者のチームの一員として、’宇宙電子線’の伝播にかかる現在の理論を、CALETから送られてきたデータをもとに修正・推測しているそうです。


今後も宇宙からの信号である宇宙電子線を分析することにより、将来は新しい素粒子の発見、ひいては超新星や暗黒物質の解明に貢献していくのが夢とのことです。

来日1年後には、独学でひらがな、カタカナ、そして簡単な漢字も読めるようになり、会話も上手になりました。

もしかしたら、スーヴォさんの研究によって、近いうちに宇宙に関する非常に重要な新事実が発見されるかもしれません!

人間開発課 萩原真貴子 (2015年)