南ア研修員、日本の水質管理技術を学ぶ。

日本の安全・安心な水道事業、水質管理の技術を学びました。

南ア研修員と日本の講師

2016年1月17日〜30日まで、南アフリカ(以後「南ア」)の国別研修「水質管理」を実施し、中央省庁、地方自治体、及び水道事業体から20名の研修員を受け入れました。

【南アの上水道の質管理】

 南アでは、2008年に「ブルー・ドロップ・サーティフィケーション」というプログラムを導入し、上水道の質管理のための規則を定め、水道事業のサービス改善を積み重ねています。
 今回の研修はこれに寄与するためのものです。

【来日】

 来日当日には大雪が降り、翌日から研修が予定通り実施出来るか少し懸念されました。
 しかし、2週間という短期間の研修でしたが、幸い研修員は自国との気温差や時差も乗り越えて、雪を楽しむ一面も見せつつ、最後まで予定通りに研修日程を終えることが出来ました。

【研修の内容】

(小河内ダム)

 研修は、主に東京都水道局のご協力を得て実施しました。(※1)
 視察と講義を上手く組み合わせて(※2)、水道水の上流から家庭の蛇口に至るまでの水質管理・浄水処理技術を中心に、日本の水道の歴史、顧客サービス・対応等も学んで頂きました。
 
(※1) 今回の研修受け入れにご協力頂いた機関は、1. 東京都水道局、2. 国立保健医療科学院、3. 水道技術経営パートナーズ株式会社です。
(※2)小河内ダム、羽村取水堰、ひむら浄水所、朝霞浄水場、水質センター、多摩お客さまセンター、水道歴史館、健康安全研究センター等を訪問し視察・受講しました。(以上全て東京都)

【研修の学び】

 研修員からは、特に有益であったものとして、水安全計画、浄水処理技術、水質モニタリングに関する講義・視察等が挙げられ、日本の優れた技術、それに対する丁寧な取り組みが評価されました。
 また研修の目標達成度は、20名全員が「十分達成出来た」「達成出来た」を挙げており、高い評価が得られました。(以上、終了時アンケートより)

【印象深い内容】

 今回、研修担当として多くの視察・講義等に参加する機会を得、日本の水道事業の質の高さ・関係者の努力に研修員とともに感銘を受けましたが、特に印象深かった内容について、一部を以下の通りご紹介します。(順不同)
 1.東京都の水道水は蛇口から飲める質の高さ・・・世界でも誇るべきこと。
 2.小河内ダム(昭和32年竣工)・・・安全かつ安定的な水の供給には、水源林の管理・保全が重要であり、それを長年(100年以上)に渡り継続することの大切さ(例:堆砂率約3%。ダムに蓄積される土砂の、ダム総貯水容量に対する割合。経年により堆積され、ダムの「寿命」(利用できる期間)にも関連する。この%は非常に低い数値で、適切に管理されていることの証左。)
 3.映像資料「生活と水」(1952年製作)・・・日本の水道事業・歴史の紹介。日本の当時の状況がよく分かり、整備された現在の状況との比較において、大きなインパクトがある。環境等が異なる国から来日した研修員にも、現在の日本の先進技術のみならず、そこに至る歴史が理解できる。

【日本の優れた技術の紹介、親日派の輪の拡大】

 引き続き、関係機関のご協力・ご支援を得て、高品質、かつ開発途上国のニーズを踏まえた研修を実施します。そして研修員の国・組織が抱える課題解決に寄与するとともに、更に日本の優れた技術を彼らにアピールしていきます。
 また、本邦研修を通じて、技術のみならず、日本の文化等もお伝えし、親日派・知日派の輪を広げていきたいと思います。

東京国際センター 経済基盤開発・環境課 西木広志 (2016年1月)