「安全な食品」の提供とは —マレーシアからの研修員が神戸で食の安全を学ぶ—

 2月21日から25日まで、マレーシア「食品の輸出入管理体制の強化」コースの研修員が、古くから日本を代表する港のひとつである神戸港を有する兵庫県神戸市を訪問しました。マレーシアでは、工業化に伴い食料自給率の低下が進み、食品全体の42%を輸入しているため、より安全な食の確保の重要性が高まっています。輸入食品の検査・検疫を円滑に行い、汚染食品が輸入されることを防ぐことが重要な課題となっていることから、マレーシア政府からの要請を受け、本コースを実施しています。

輸入食品における安全管理の最前線、検疫所を視察

神戸検疫所での意見交換

  水際での監視の要といえる神戸検疫所では、充実した機器類による食品検査の現場を見学し、その規模と厳密な品質管理手法に称賛の声が上がりました。
 また、食品衛生監視員に同行し保税倉庫(外国から輸入された貨物を、税関の輸入許可がまだの状態で関税を留保したまま置いておける倉庫)にて、段ボールを開梱し中からサンプリング用の商品を抽出する現場を確認したことは、輸入食品の安全管理の最前線である現場の地道な活動を知る上で非常に貴重な経験となったようでした。
 対応下さった検疫所職員の方が10年ほど前にマレーシアに赴任されていたことがあったそうで、今回の研修員の一人である当時のカウンターパートと感動の再会を果たす場面もありました。

食品事業者の食品の安全への取り組み

コープこうべ甲南店での青果品質管理について説明を受ける研修員

  また、民間での食品安全への取り組みを学ぶため生活協同組合コープこうべの食品工場・商品検査センターと小売店舗の3か所を見学しました。
効率性に優れた清潔な工場での食品生産のようすを見学した後、実際に消費者が商品を手にする場である小売店舗に向かい、先ほど製造されていた商品が、衛生面にきめ細かく管理されながら店頭に並んでいる姿を見た参加者からは、それぞれの場面で適切な衛生管理がなされることの重要性が良く理解できたとの声が聞かれました。また、コープこうべが独自の商品検査センターを持ち、消費者(組合員)からの異物混入等に対する申し出に対し真摯に対応する姿勢に驚きつつも、多くを学んだようでした。

本研修での気づきや学びが今後の彼らの業務に活かされ、マレーシアの輸出入食品の安全性向上に資することを期待しています。

JICA人間開発部   野村 明香 (2016年2月)