ブラジル国の未来の造船業を担う人材の育成のために〜「要素技術研修(鋼材切断)」〜

JICAがブラジル国で実施しているプロジェクト(「造船業及びオフショア開発人材育成プロジェクト」)の一環で、ブラジル国の人材育成を担う機関である「全国工業職業訓練機関(以下、SENAI)」のペルナンブコ州にある訓練校の指導者2名(Marcosさん、Aprigioさん)が来日し、約1カ月間の研修に参加しました。

JICAがブラジル国で実施している「造船業及びオフショア開発人材育成プロジェクト」は、造船産業及びオフショア開発の需要に基づいて、同国における造船のための「造船産業政策」及び「教育・技術サービスに係る産業システム」が改善されることを目的としており、2014年10月に日本の協力が開始されました。
2015年度には、このプロジェクトに関連した計6件の研修が日本で実施されています。

左がMarcosさん、右がAprigioさん

今回、MarcosさんとAprigioさんの2名が参加したのは、造船業の生産性の向上に不可欠な生産技術の中でも基本技術の1つである「鋼材切断技術」をテーマとした研修で、一般財団法人日本造船技術センター及び日本における熱切断(プラズマ切断・レーザー切断・ガス切断)のトップメーカーである小池酸素工業株式会社の協力の下、千葉県緑区にる「KOIKEテクノセンター」にて実施されました。

研修参加者が作成したプログラムに関するディスカッション

この研修では、研修参加者が「鋼材切断用の自動機械の操作を習得すること」及び「自動切断機械を用いた『鋼材切断自動化技術』を指導できるようになること」を研修の目的としており、「ガス切断安全講習」や「燃料ガスとガス切断の特性」といった切断機使用に係る基礎知識から造船業で実際に使用されている各種切断機の操作まで、座学と実習を効果的に組み合わせたカリキュラムに沿って研修が実施されました。

研修参加者が実際に切断機を操作

切断機でブラジルの国旗の形を製作

研修最終日に実施した研修の評価会では、研修参加者から「今回の研修は、新しい知識を数多く得ることができ、とても良い経験であった」「今回の研修で得た知識を、訓練校の講義・実習内容に取り入れたい」「改善点について全く思い浮かばない。すばらしい研修であった」などの発言があり、帰国後の研修内容の活用の観点も含め研修内容を高く評価していることが窺えました。
また、「日本は素晴らしい国である」「国民は親切ですばらしい」「技術的内容に限らず、日本文化についてもブラジルで伝えていきたい」という発言もあり、日本での日々の生活や研修関係者のホスピタリティに触れることで、日本に対して良い印象を持たれたようです。

経済基盤開発・環境課 長井 (2015年12月)