日本の高効率・クリーンな発電の技術をバングラデシュへ

満開の桜と記念撮影

 資源の少ない日本が培ってきた高効率でクリーンな発電技術の現場を、バングラデシュのエネルギー政策関係者が視察に訪れました。

バングラデシュの電力事情とマタバリ火力発電プロジェクト

講義風景

 途上国に行ったことのある人は、頻繁に起こる停電に遭遇した経験があるのではないでしょうか。途上国の多くが不安定な電力供給を課題としており、バングラデシュもその例外ではありません。今後電力需要の増加が予想されるため、供給とのギャップを埋めることが至急の課題となっています。
 そこで、マタバリという地区に効率の高い、かつ環境にも配慮した火力発電所を建設し、安定した電力供給を目指すこととなりました。
 これまでバングラデシュでは、国内で生産される天然ガスを利用した火力発電を行ってきましたが、天然ガスは近く枯渇するとみられているため、埋蔵量が多くかつ安く輸入できる石炭火力発電を導入することが決まりました。ここで日本の技術が採用されることとなったのです。
 天然資源の少ない日本はこれまでの経済成長の過程で、貴重な輸入資源から効率よく電力を生み出し、かつ環境に負荷を与えない技術を培ってきました。こういった仕組みを実際に自分たちの目で見て、技術者から直接話を聞くため、バングラデシュのエネルギー政策関係者らが視察に訪れました。

日本での視察とこれから

発電所内を視察

 限られた時間の中で、鹿児島から福島、群馬など日本中を飛び回り、風力や水力など様々なタイプの発電所を視察しました。安定した電力供給のためには、様々なかたちでの発電を併用することが重要だからです。
 研修を通して、積極的に意見交換する様子が印象的でしたが、中でもマタバリのモデルとなる常陸那珂火力発電所では、講義中から積極的な質問が重なり、予定時間をオーバーするほどでした。
最終日には、今回の研修を通じて発電所運営についての基本的な考え方が変わった、得た知識をバングラデシュでの仕事に応用したいといった意見が寄せられ、充実した滞在であったことが伺われました。
 幸運にも訪問先各所では桜が満開で、研修員たちにとって日本滞在の印象深い思い出になったようです。
 研修員らは帰国の途に就きましたが、マタバリでのプロジェクトはまだ始まったばかり。今後現地から届くニュースが楽しみです。

JICA東京 産業開発・公共政策課 山田愛