エジプト国の政策策定・計画立案能力向上にむけた研修の実施

(1)講義の様子

 エジプト政府の開発計画及び政策実施能力強化を図るため、計画・モニタリング・行政改革省(以下「計画省」)ほか関連省庁より、副大臣、大臣アドバイザーなど高官9名が来日し、JICA東京国際センターでの研修に参加しました。

日本の事例からグッドプラクティスを学ぶ

(2)ワークショップ

 JICAはエジプト政府の要請により、2014年10月より計画省に対して「開発計画・政策実施能力強化における知見共有プロジェクト」を実施し、国家長期開発戦略の実現に向けて、計画委員会の設立、及び戦略推進に必要な中期実行計画(3〜5年計画)の策定と実施に向けた体制整備に取り組んでいます。
 本研修は上記プロジェクトにおける活動の一環として株式会社鳴尾総合研究所/株式会社VSOC/公益社団法人国際農林業協働協会の協力により実施されました。来日した9名の研修員は、日本の政策形成、立法過程、予算審議過程、地方公共団体における計画行政、政策人材の育成などのテーマについて各分野の専門家から講義を受けたほか、総務省において日本の行政評価についての説明を受けました。また大分県への訪問では、副知事の表敬に続き担当者から県の長期総合計画の策定及び実施についての説明を受けた後、大分コンビナート(製鐵所)や民間企業が手掛ける農場、特産物の販売所等を視察し、計画の実施及び実施における官民の連携について理解を深めました。さらに鎌倉市への訪問では、行政サービスが市民に提供される現場を視察するなど、2週間という限られた研修期間で、政府が関わる政策や計画に関する日本の知見や経験に触れる数多くの貴重な機会を得ました。

エジプトでの実践に向けて

(3)研修修了時

 この研修のなかで、研修員たちは日本の発展に向けた様々な取組みへの理解を深めると同時に、日本の事例を自国でどのように活用できるか分析し、白熱したグループ討議を通じて中期実行計画策定に向けた今後の取り組みについて検討しました。省庁を越えた行政官同士が一丸となって、自国の課題の整理に取り組みながら実践に向けた計画をまとめ、研修最終日にはその発表を行いました。研修員からは、帰国後には今回の参加メンバー同士が省庁横断的に協力しそれぞれの担当分野における政策や計画の策定と、それを担う人材の育成に向けて具体的な取り組みを早急に実施したい、また、研修の成果を自身の所属先で報告し行政サービス向上に向けて皆で協力し努力していきたい、という力強いコメントが寄せられました。
 帰国した研修員たちには今後、今回の研修を通じて得られた国や地方の開発、発展についての日本の知見や経験を所属先関係者へ伝えていくこと、またそれら知見を活用しエジプトの更なる発展に寄与していくことが期待されています。今回の研修を通じてエジプトと日本の関係がますます強いものになることを願っています。
JICA東京 産業開発・公共政策課 鈴木 (2016年2月)