【社会保障】イラク・作業服を着ましょう!

イラクの労働災害事故の状況を改善するため、イラク労働安全分野の行政官15名が来日しました。

お揃いの作業服を着た研修員

イラクでは労働監督官の人数不足、認識、経験の不足が原因で労働災害事故が増加したり、労働災害事故の正確な報告がされないために事故を未然に防ぐ有効な対策が取られていないといった状況があります。そのため労働安全衛生に関する意識改革や管理体制の強化、政策の徹底が求められています。
来日した研修員は約2週間、高度成長期に労働災害の件数を著しく減少させた日本の実例や政策、企業における労働安全教育など日本のこれまでの取り組みと知見を学びました。
研修前半は日本の労働安全衛生関係法令、危険予知訓練、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)、災害報告・記録の手法等を学びました。その後、講義で得た知識が労働現場でどのように活かされているのか、日本の中小企業や製鐵所の取り組みを見学しました。また、工事中の危険性を肌で体験できる「安全工事体験訓練」を行いました。巻き込まれ体験、重量物の形状の違いによる重量体感、VR(バーチャルリアリティ)を使った転落体験を行い、ふとした不注意が深刻な事故につながること、作業に慣れ始めた中堅者の災害が多いことを実感しました。
研修の最後には帰国後の活動計画について全員で検討しました。
その中で10年をかけて労働者の意識改革や労働安全衛生の管理体制を整えていきたいとの提案がなされ、具体的な対策を話し合いました。

研修員は工場の視察や数々の実習、安全体験訓練のために安全に配慮した作業服を着用しました。

作業服を試着するヒワさん

安全靴のサイズを確認するルクマンさん

作業着、安全靴、を試着します、重要なのは自分のサイズにあっていること、安全靴のサイズは慎重に確認します。
日本の作業服に興味深々の研修員からは同じユニフォームを着ることでみんなの意識が高まる上、安全にも配慮できるのでとてもよいとなかなか好評でした。しかしながら気温の高いイラクでは厳しい暑さの中で作業服や安全靴、ヘルメットをつけなければならない事が課題だとの意見もありました。また女性の研修員からはイスラムの女性は体の線を見せることを好まないので上着は腰まで隠す長さがほしいといった、なるほどの意見もありました。「もっと華やかな色合いのものはないの?」とおしゃれな彼女たちならではのつぶやきも聞こえてきました。

帰国したモハマッドさんから嬉しいお便りが届きました。

Thanks for your hospitality
Thanks for your appreciation
Thank you for your kindness and compassion
Thanks to the Japanese people who taught us how to live
You and the Japanese people are in our hearts
I hope to see each other once more





事業・研修の概要
J1721538イラク災害発生報告・記録に係る能力向上
2017年7月17日〜7月29日

JICA東京 人間開発課