【研修員エッセイ】日本の思い出 ~Experiences in Japan~

「地方自治研修」に参加したスリランカの研修員から、二度目の訪日を通じていかに親日家になっていったか、心温まるエッセイが届きました。

2019年7月5日

初めての来日

子供のころ、私は地図の上で色々な国を旅するのが大好きでした。中でも4つの主要な島からなる魅力的な形をした国は私の心を捉えて離しませんでした。いつかその国に行ってみたい。子供のころの夢は、2010年9月に佐賀大学への1年間の交換留学という形で幸運にも実現しました。1年間の滞在期間中は大学の授業だけでなく、茶道、文化交流イベント、旅行、ホームステイなどを通じて日本の人々と心からの交流を楽しむことができました。日本語や日本の文化を学ぶ機会もあり、その経験は私の親日感情を育んでいきました。日本滞在中の2011年3月11日には、東日本大震災と津波という東北を襲った不幸のニュースを耳にしました。そのような状況で、私は当時日本に住んでいたスリランカ人と日本人の共催によるチャリティーイベントに参加し、日本を支援することができ、とても光栄でした。人生の様々な節目を思い返した時、私の初めての海外経験、これが私の人生の中で最も魅力的で楽しい時間だったと素直に言えます。

「私は何て幸せなの!愛すべき人々が住む、素敵な国を訪れる機会が2度も訪れるなんて!」

JICA研修の思い出

JICA東京センターで行われる「地方自治研修」の参加者として私が選ばれたと聞いたとき、第二の母国に飛んでいくための翼を再び手にしたと感じ、とても嬉しく思いました。最初の訪日から8年後のことです。

この「地方自治研修」(2019年5月21~6月29日)には11ヵ国13名の研修員が参加し、日本の社会、文化、経済、政治、行政、教育、環境政策、観光、農業、社会福祉などについて、講義や視察を通じて学びました。中でも最も興味深かった視察は立川市立第五小学校の訪問でした。5年生の子供たちに、折り紙で蝶々の折り方や、私の母国語であるシンハラ語の蝶々の童謡を教えました。驚いたことに、子供たちは5分、10分という短い時間でスリランカの子供と同じように歌えるようになりました。子供たちが自分たちで作った蝶々に私のサインを求めてきたことも、嬉しい思い出です。

研修旅行で訪れた、東京とは全く違う魅力を持つ宮崎県では、綾町の照葉大吊り橋から見た常緑樹林の風景、島野浦島(延岡市)一周乗船ツアーなど、私は思い出のバッジをたくさん集めることができました。延岡市長の温かいおもてなしにも本当に感謝しています。私は首都圏から遠く離れた延岡市が、グローバルに考えローカルに活動しながら製造業をいかに発展させ前進してきたかということにとても驚きました。

また、日本が2020東京オリンピック・パラリンピックの準備として、環境にやさしい方法でメダルを製造するために電子ごみから金、銀、銅を集めていることは、世界に向けた大きな教訓となるでしょう。立川市リサイクルセンターを視察することで、日本の廃棄物のリサイクル工程がいかに体系的になっているか実感することができました。

研修プログラム以外でも、東京・神奈川の各地を訪問する機会があり、二度目の訪日で、いかに日本人と日本の国が素晴らしいか再認識しました。

私の国でさえ、かくも人を愛おしむような方法で他人を尊重する人々を見たことはありません。デイケアの現場見学として、だんらんの家八王子に訪問する機会もありました。日本が高齢者や特別な介助を必要とする人々をケアするシステムを発展させてきたことは本当に素晴らしいことだと思いました。日本人の優しさ、誠実さ、時間厳守、規律正しさは私の心のもっと深い部分に響き、日本の人々は私をまた日本に来たいと思わせてくれました。

最初の訪日で私に日本と日本人の美しさについて教えてくださった、佐賀大学で指導教官だったPiyadasa Ratnayake教授に感謝を申し上げたいと思います。そして、二度目の訪日中、研修を成功に導くために信じられないほどの努力をし、私が自分の国について見つめ直し、またどのように働きかけていくかを改めて考える機会を研修という形で提供してくれた、JICA、総務省自治大学校、全ての研修講師、スタッフの皆様に感謝を申し上げたいと思います。

【事業・研修の概要】
国名:スリランカ/Sri Lanka
氏名:Ms. Gayani Lakmali Pathirage
参加研修名:地方自治
研修期間:2019年5月21日~6月29日