JICA留学生が下水処理施設を見学しました!!

東京都下水道局からのご招待を受けて、JICA東京所員と東洋大学大学院に在学中のJICA留学生が、芝浦水再生センター(東京都港区)を見学しました。

2022年1月7日

施設見学の概要

 12月17日、JICA東京所員と東洋大学大学院に在学中のJICA留学生であるクリストファーさん(ケニア)とアンガさん(インドネシア)が芝浦水再生センターを見学しました。
 芝浦水再生センターは、JR品川駅に程近く、オフィスビルの立ち並ぶ都心にあります。ここでは、都民の生活や都市活動によって生じた汚水や雨水を集めてきれいにし、海に戻すという、私たちが日々安全で健康な生活を送るために欠かせない役割を担っています。1931年に運転を開始、東京で3番目に古いという歴史ある同センターでは、下水処理施設の構造や役割について、子供から大人まで、そして外国人の方も分かりやすく学べるための見学設備が整備されています。

タブレットを通して施設内を見学する様子。蓋をした沈砂池内の汚水の流れが、AR技術により、タブレット上に矢印で表示される。

 同施設はAR技術を活用した最新の見学設備を有しており、一連の下水処理プロセスについて、分かりやすく体感することができました。施設内には、汚水を浄化していく仕組みや技術について、多言語に対応した解説パネルも掲示されています。JICA留学生のお2人からは、各設備を24時間常に正常に機能させるためのメンテナンス体制や日本の下水道整備の状況等について施設の方へ質問が寄せられるとともに、自国の下水道事情についての共有もあり、活発な議論をすることができました。

※AR(Augmented Reality);拡張現実。タブレットなどの特定のデバイスを通して見た時に、物理的な環境に対する人の認識に変化を与えるデジタルテクノロジーのこと。

JICA留学生の反応

施設の方に熱心に質問をするクリストファーさんとアンガさん(左手奥)。

「芝浦水再生センタースタッフとの交流を楽しみ、素晴らしいツアーでした。排水処理のプロセスは、生活環境の改善、雨水の除去による洪水の防止、地球環境の保護を確かなものにします。また、炭素を使って環境の臭いを減らす方法を知り、ワクワクしました。この技術は、快適な生活環境に必ず役立ちます。」そう話したのは、クリストファーさん。上水道分野の研究をしています。都市開発の研究に取り組んでいるアンガさんは、次のように語りました。「日本がどのように排水を浄化処理しているかについて学ぶことができたことに心から感謝したいと思います。下水道や下水処理施設は、日本人の日常生活に欠かせない役割を果たしていることが分かりました。開発途上国は、日本の下水処理施設について学び見習うことができるので、将来私たちの地球をより健康にすることができます。」
 お二人とも、今回の体験を通じて、それぞれの専門分野の視点から有益なインプットを得ることができたようです。

JICA研修員の来日再開へ向けて 

東京都下水道局、芝浦水再生センターの皆さんとの記念写真

コロナ禍の影響で、現在、短期研修はオンラインにより実施していることから、実際に施設訪問を行うことは少ない状況です。そのような中、東京都下水道局からお声かけをいただき実現した今回の見学は、将来的な来日によるJICA研修の再開に向けて、感染症対策を考慮した現場視察の企画を検討するうえでも大変貴重な学びの機会でした。JICA留学生のお二人に参加いただき、積極的な議論を交わしていただいたことで、現場に触れ、現地の施設の方と直接に質疑応答を交わしながら、話題を掘り下げて議論していくことの意義の大きさを感じました。
 さらに、芝浦水再生センターの皆さんにとっても、外国人の見学者の受入れは久しぶりのことだそうで、私たちの訪問を歓迎してくださいました。東京都下水道局では、これまで海外への職員の派遣や、海外の政府、自治体等からの研修生、視察の受入れ等を通じて、海外とのネットワーク構築に取り組まれてきたところ、コロナ禍においても、東京の下水道の技術や取組について、ホームページや映像教材、リーフレット等により、海外に向けて積極的な情報発信をされています。東京都下水道局 荒木企画調整担当課長からは「熱心にご見学いただきますと、励みになります。」と、この状況下でも外国人見学者の受入に前向きなお言葉を頂き、研修員の来日に向けて私たちも勇気づけられました。今後も地域の自治体や企業の皆様のご協力を得ながら、JICAの持つネットワークを活かして、研修の企画・実施に努めてまいります。
 東京都下水道局の関係者の皆様、芝浦水再生センターの皆様、本当にありがとうございました!