遠隔研修の好事例紹介:「サイバー攻撃防御演習」

世界的な新型コロナウィルス感染拡大により、昨年度より当センターでは試行錯誤を重ねながら多くの遠隔研修を実施しています。その中でも、本課題別研修「サイバー攻撃防御演習」は、インターネットの仮想空間上での演習プログラムを効果的に活用し、参加研修員からの高い評価を得ていますので、好事例としてご紹介します!

2021年12月3日

効果的な遠隔研修とは…   

どのようにしたら効果的な遠隔研修が実施できるのか…
昨年度来、遠隔研修を進める中で、常にこの問いを持ちながら試行錯誤をしていますが、本研修では多くの参加者たちが、来日という魅力的な機会が得られない中でも高い意欲を持って研修に参加し、「効果的なハンズオン演習を体験することができ、能力強化に大いに役立った!」と満足度が高いことが分かりました。

■実践的なハンズオン演習+α
 本研修の大きな特徴は、インターネットを通じてブラウザだけでアクセス可能な環境を整備して、遠隔ながら実践的なサイバー攻撃防御演習を体験し、インシデント対応方法を身に付けることができる点です。サイバー攻撃を受けたと仮定した演習用の疑似環境や体系立ったプログラム設計等は、遠隔研修においても強みを発揮しています。
 ただ、その高度な演習環境ばかりではなく、+αとして、講師陣による手厚い演習のフォローや日本ならではのホスピタリティある丁寧な指導も、大きな魅力です。オンラインゆえにインターネット環境の不具合等も起こり得ますが、ZOOMのブレークアウトルームを使って、講師が個別ガイダンスやケアを行い、演習進捗をフォローする等、各研修員の状況・学びの進度に合わせた細やかな指導こそ、日本の研修の大きな強みなのではないかと感じます。

■円滑な英語ファシリテーションスキル
 また、日本側も母国語ではない英語を使っての研修実施になりますが、遠隔研修においては対面型の研修以上に、高い英語力及びファシリテーションスキルが求められます。本研修では、日本人講師に加えて研修実施機関のフィリピンオフィスに勤めるフィリピン人講師陣が、高い英語力を有し、英語ネイティブドナーにも引けを取らないファシリテーションスキルを駆使し、研修員の集中力を高め、円滑な遠隔研修実施に繋がっています。色々な国からの講師が同時に研修をサポートできるのは、遠隔研修のメリットと言えます。

さらなるサイバーセキュリティ能力強化を目指して

遠隔研修の様子 @閉講式

遠隔研修の様子 @研修員代表スピーチ

 サイバーセキュリティの問題は、インターネットの急速な普及に伴って、近年その被害は顕著に高度化・深刻化しており、サイバーセキュリティ対策の強化は世界的な急務となっています。これは、まさに国境を超えた共通課題であり、一国のみの取り組みで解決できるものではありません。効果的な演習・研修を通したサイバー人材の能力強化も大切ですが、同時に同じ価値観を共有する同盟国とのネットワーク構築も重要です。
 JICAではSNSを使ったサイバーセキュリティ人材のネットワーク構築・強化を促進しており、JICAを中心に多くの国内外のパートナー・専門人材を繋ぐ役割を果たし、さらなるサイバーセキュリティ強化に貢献していきたいと考えています。
 まだしばらく遠隔研修が続くかもしれませんが、遠隔研修における日本の付加価値とは何か…今後も追求していきたいと思います。

<研修概要>
研修名: 「サイバー攻撃防御演習 (A)」
実施期間: 2021年11月10日(水)~11月19日(金)
参加国: バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、マレーシア、東ティモール、ベトナム
参加者数: 11名
研修委託先: トレンドマイクロ株式会社