最後の野生株ポリオ発生から3年、ポリオ撲滅に向けた最後の努力へ

2019年9月24日

2019年8月21日、ナイジェリアにおける最後の野生株ポリオの発生から丸3年が経ちました。ポリオ撲滅に向けて様々な努力を行ってきたナイジェリア政府や国際社会にとって最後の大きな一歩となりました。ナイジェリア国内、地域でのポリオフリー(ポリオの発生がない状態)の宣言には、野生株ポリオが3年発生していないことについて科学的な検証を経た上でポリオ根絶認定地域委員会(Regional Certification Committee:RCC)による正式な認定を受ける必要があり、今後その手続きが進められていきます。

同日、ナイジェリアの首都アブジャにおいて、ナイジェリア国内のポリオ対策活動を主導する国家プライマリーヘルスケア開発庁(National Primary Health Care Development Agency:NPHCDA)主催で記者会見が開かれ、JICAをはじめ、ポリオ対策に向けて支援を行ってきた主要ドナーである、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、米国疾病管理予防センター(USCDC)、国際ロータリー財団、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下、ゲイツ財団)、米国国際開発庁(USAID)、ドイツ大使館等が出席し、ポリオフリー実現に向けた継続的な努力の重要性について確認がなされました。

JICAはUNICEFを通じた無償資金協力「ポリオ撲滅計画/小児感染症予防計画」(2000~2012年度)によるポリオワクチン調達とワクチンの輸送保管を行う保冷箱や冷蔵庫などのコールド・チェーン整備に係る支援、ゲイツ財団と連携したポリオワクチン調達に係る円借款「ポリオ撲滅事業」(注1)(2014年5月借款契約調印)、ナイジェリア国内2か所のWHO検査ネットワークに加入する国家ポリオ検査室に対する技術協力とバイオセーフティーキャビネット等の機材供与の他、研修によるナイジェリア人のポリオ研究者育成などにより、ナイジェリアのポリオ対策の様々な支援を行ってきました。

今後もJICAは西アフリカの感染症対策拠点ともなるナイジェリア疾病予防センター(NCDC)と連携してさらなる支援を行っていく方針で、2019年4月にバイオセーフティ・レベル(注2)(BSL)3の封じ込め検査施設建設や機材整備を行う無償資金協力「ナイジェリア疾病予防センター診断能力強化計画」(注3)の贈与契約を締結した他、8つの優先疾患(出血性ウイルス熱、黄熱病、コレラ、髄膜炎、麻疹、インフルエンザ、薬剤耐性菌、サル痘)に対するNCDCの診断、サーベイランス、対応能力強化を目的とした技術協力プロジェクト等の実施を予定しています。

(注1)事業成果が達成されれば円借款の返済をゲイツ財団が肩代わりする「ローン・コンバージョン」という手法を採用。予め設定したワクチン接種率に関する事業成果目標の達成が確認されたため、2017年12月に円借款債務をゲイツ財団へ承継。

(注2)バイオセーフティ・レベル(Bio Safety Level:BSL):微生物・病原体等を取り扱う施設の格付け。1~4のレベルがあり、数字が大きいほど、感染を起こすと重篤な症状を示す病原体などを扱うことができる。