【インターンが見た!】世界が広がる出前講座!

2021年12月21日

「Hello! Nice to meet you!」

自信を持って英語でコミュニケーションを取るのは高校二年生。この日は、エジプト、カンボジア、インド、アルゼンチン、ルワンダから6名もの研修員、そしてパプアニューギニア、ガーナで活動してきた協力隊経験者が出前講座という形で検見川高校にやってきたのです。生徒たちの気持ちの高まりは、廊下で飛び交う元気な英語の挨拶だけでもすぐに分かります。

出前講座は、開発途上国の実情や日本との関係、国際協力の必要性について考える機会を提供することを目的として実施されています。今回JICA東京インターンの土戸と中村が見てきた、「千葉県検見川高校での、英語で異文化理解を深めるための出前講座」をレポートします!

英語でtry! 日本の魅力どう伝える?The speaker is…生徒! 

実際の竹刀を手にする研修員

書道体験を行う教室

教室に入ると、黒板に見えるのは研修員の出身国や協力隊の派遣国にまつわる絵や写真、風船や折り紙で作った飾りなどです。温かい歓迎の後は、生徒から英語で日本の文化についてのプレゼンテーションがありました。その内容は、日本の季節からお祭りや食べ物、アニメまで様々。中には、「鬼のパンツ」を踊って披露する生徒もいました。アクティビティを通して日本の文化を伝えるグループも多く、剣道の竹刀を振りかざす研修員の姿も。ベトナムの研修員の教室では、実際に福笑いや書道を体験できる機会を設け、盛り上がっていました。
司会を務めるのはもちろん生徒。英語でのプレゼンテーションを行った後は、質疑応答の時間です。ここでも、研修員や協力隊の方々が英語で質問した内容に対して、その場で答える生徒たち。ペラペラと答える姿に周りの生徒が「すごいすごい!」と盛り上がる姿も度々見受けられました。

知らないことばかり!The speaker is…研修員・協力隊員! 

続いては、研修員や協力隊員が出身国・派遣国に関するプレゼンテーション。

自国ルワンダについてプレゼンを行う研修員

インドの紙幣を見せる研修員

現地パプアニューギニアでのリハビリの様子を動画鑑賞する生徒と協力隊OB

「Let’s get a tour in Egypt!」というスライドから始まったエジプトの研修員Kshanhさんの発表では、私たちのイメージする砂漠やスフィンクスだけでなく、リゾート地の写真や開発された都市の映像などが紹介されました。あまりの美しさに、思わず息を呑む生徒たち。目はスクリーンにくぎ付けです。

アルゼンチンからの研修員Márquezさんは検見川高校では三度目の出前講座。アルゼンチンでは一般的、という日本では見ないようなダイナミックなお肉の写真に驚いたかと思えば、豚カツなど、日本食のような食べ物もあると聞いて「へぇ〜そんな共通点があるのか!」と一同。実は、前回まではアルゼンチンのお菓子を生徒たちのために持ってきていたようですが、残念ながら今年は感染予防対策のため写真のみで堪能しました。

理学療法士として協力隊活動をしていた滝沢さんは、自身の経験を踏まえながら、パプアニューギニアについて紹介しました。医療や警察、インフラなどの途上国における課題についてのエピソードに生徒たちも驚きを隠せない様子。一方、パプアニューギニアでの文化や生活についてもお話ししました。現地のきれいな海に入りながらリハビリを行ったり、勤務先の病院でリハビリを担当した患者さんのお宅に泊めてもらったりと、異文化の面白さや現地の人の温かさを非常に強く感じたようで、生徒たちも「国や文化、人同士の相互理解を深めることって、とてもいいなあ」とほっこりしていました。

挑戦から世界は広がる! Let’s communicate! 

今回の出前講座では、それぞれのプレゼンテーションもその後の質疑応答でも英語で取り組まれました。
「What is your favorite season? (一番好きな季節は何ですか?)」
「Do you watch anime, too? (皆もアニメは見ますか?)」
などの、研修員から生徒への質問があがり、頭をひねらせながら懸命に生徒が英語をこたえていました。初めは緊張した面持ちだった生徒たちも英語で会話が成立した喜びから、自然と笑顔になっていきました。

海外協力隊について説明する協力隊OG


はじめましての瞬間、英語で自己紹介する生徒


さようならの瞬間、堅い握手をかわす生徒と研修員

あっという間の二時限が終わり、生徒に感想を聞いてみると、「日本は一日3食なのに、アルゼンチンでは5食も食べるんだって!」「日本では見られないような景色が綺麗で、海外に行きたくなった!」と刺激の多い時間だったようです。「英語が難しかった」と言っていた生徒も、プレゼンテーションで知った情報を次々と興奮気味に語り初め、コミュニケーションは言葉だけでないことをヒシヒシと実感しました。研修員の英語に難しさを感じながらも理解し、「日本とは違うところ」に刺激を受ける生徒たち。違うということを知らなければ、異文化理解は始まりすらしないのではないかと感じました。

全ての発表の終了後、それぞれクラスから二人の生徒が、研修員や協力隊員にミニ学校見学を行いました。教室の中では静かだった生徒も、ここでは積極的にツアーの案内役に回ります。もちろん英語で。運動する場所を見たいという研修員の要望にも、「Let’s go to the gym!」とノリノリのツアーガイドぶりでした。英語で意思疎通ができることが嬉しく、そこから自信が生まれ、さらなるコミュニケーションを図ることに積極的になっているように見えました。

実際に外国人と英語で話す機会があることで、違う言語でコミュニケーションをする楽しさや異文化理解の面白さを感じていることが見て取れました。研修員の方からも、「君たちのプレゼンテーションは素晴らしかった!これからも恥ずかしがらず挑戦しよう!」というアドバイスがありました。

授業を通して...
実際に研修員や協力隊員と英語でコミュニケーションをすることで、生徒たちの自信や異文化と触れ合うワクワクが目に見てとれました。コロナウイルスの流行の影響で海外に行くことが難しくなってしまいましたが、ネイティブや協力隊員の体験談など、生きた教材に触れることで生徒の視野が広がっていくのではないかと感じました。

報告者:市民参加協力第一課インターン 土戸友理香、中村海音