2022年8月23日
TICAD8の機会を捉えて、JICAとAfDBがサイドイベント「アフリカの若者が日本で学ぶ意義と、日本とアフリカの連携の強化」を共催し、アフリカの若者にとって日本で学ぶことの意義や、持続可能な開発に向けて開発機関が提供する留学生事業がどのように日本-アフリカ間の共創を活性化できるかについて議論しました。当日は日本やアフリカ等から200人以上の方がオンラインで参加し、大盛況に終わりました。
2050年には、世界全体の4人に1人がアフリカ人口になり、そのうちの6割は若年層が占めると予想されています。増加する人口を支え、今後のアフリカの経済の発展と強靭な社会の構築には、若者の人材育成が不可欠です。
日本政府とJICAは、2013年のTICAD Vにて「若者のためのアフリカ産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)」を開始。アフリカの成長の糧となる産業人材の育成、日本企業のアフリカビジネスの「水先案内人」の育成を目的に、JICAはこれまでに1,600人以上のアフリカの若者を受け入れてきました。
またアフリカ開発銀行(AfDB)も、日本政府の支援により2017年から「日本アフリカドリーム奨学金(JADS)プログラム」を開始。同様にアフリカの若者が日本の大学院で学べる能力開発プログラムを行っています。
このような背景の下で行われたサイドイベントでは、複合的危機に直面する世界において、ABEイニシアティブ/JADSを中心とした日本での留学事業を通じてアフリカの若者が日本で学ぶことの意義や価値について、アフリカ、日本の留学生事業関係者が登壇し、議論しました。
JICA北岡特別顧問による基調講演では、日本の若者が近代化において他国から学び国家の発展に貢献した歴史に触れられ、人口が増加し発展していくアフリカにおいても若者が日本での学びを通して国家の発展に貢献することの重要性と期待が述べられました。
修了生によるプレゼンテーションではABEイニシアティブ/JADSそれぞれのプログラムへの参加を通して学んだこと、また自身のキャリアアップに繋がったことについて発表がなされました。現在母国ガーナで非接触型ICカードを活用したビジネスを展開しているABEイニシアティブ修了生のダニエルさんからは、プログラムを通し日本とアフリカにネットワークができ、自身のビジネス展開に役に立っていると述べられた。また、母国ナイジェリアの日本大使館で働くABEイニシアティブ修了生のイフオマさんからは、日本について理解が深まり、インターンを通して日本の技術について学ぶことができたと、学びについて言及されました。
パネルディスカッションでは、今後の各留学生事業の改善に向けてアフリカ、日本の留学生事業関係者が登壇し、意見交換が行われ、本邦企業等とのネットワーク強化、他機関・他事業との連携強について言及がなされました。JICA中村理事(当時)からは、JICAとしても、アフリカの若者が日本とともに母国の開発課題に貢献できるよう、引き続きプログラムの改善を図る旨発言がなされ、また留学生事業を通してアフリカと日本が共創し、成長する機会となることへの期待が述べられました。