南アフリカ版SHEPモデル確立をめざして

2018年1月30日

南アフリカ共和国(以下、南ア)でのSHEPは、南ア3州(リンポポ、ムプマランガ、KZN)の行政官が参加した2014年のJICA課題別研修とアクションプランの実施に幕をあけます。

アクションプランを実施している南ア3州は同じ国であっても、農業を取り巻く環境(気候条件や市場環境など)が異なるため、それに適応したSHEPモデルを確立するためのパイロット活動を2016年から2名の個別専門家が支援しています。1名は南アを中心とした南ア圏およびアフリカ全体のSHEP広域化、そして私がリンポポ州を中心とした南ア国内のSHEP推進をサポートしています。

活動2年目に入り、SHEP活動が一巡するこの時期、ようやく農家、普及員から様々な反応が聞こえてきました。「SHEP市場調査から冬でも灌漑施設を利用して野菜を作れば売れることが分かったよ」、「SHEPで市場調査のやり方を学んで、自分たちで新しい販路を見つけたよ」と農家。普及員からは「今までのIn-Field研修はただただ話すだけ。でもフリップチャート(注)を使えば写真も大きく見せられるし、農家の前で誰でも話せるね。双方向になって、農家との信頼感も増した気がする」と自信が付いてきた様子。市場関係者からも「今まで近隣生産者を探していたんだ。ようやく新鮮な野菜を輸送コストを抑えて確保出来そうだ」とWin-Winの関係が構築されつつあります。

SHEPパイロット活動を更に拡大するため、先頃、KZN州およびリンポポ州でそれぞれSHEPワークショックが開催されました。出席者は約50~90名で、まだSHEP活動を実施していない地域の普及員を対象とし、各州のSHEPチームが講師役を務めました。プレゼンテーション、演習、質疑応答も自身の活動経験が元になっているので、説得力があります。また、リンポポ州ではワークショップ参加者が農家役となり実際の小売り、露天商に出向き市場調査練習を行う演習も実施しました。「こんな実践的な研修は初めてだ。来週にでも農家とやってみたい」と参加者の反応も上々。

これからの活動も州SHEPチームを中心として、更に活動を州内に広げるとともに、内容をより深化させていく計画です。今はまだまだ序章、「南ア3州それぞれのSHEPモデル完成」というエピローグを目指し、活動は続きます。

(注)リンポポではA3用紙に研修内容を印刷し、フリップチャートに貼付けたものを指導教材として利用しています。

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KZN州におけるSHEPワークショップ

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栽培技術研修(育苗トレイを利用したトマト苗育苗)の様子

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リンポポ州におけるSHEPワークショップ:研修参加者による市場調査演習の様子