アジア初のSHEPプロジェクト:ネパールでのSHEP「SRC-CAP」

2018年2月28日

ネパールで実施中の技術協力プロジェクト「シンズリ道路沿線地域商業的農業促進プロジェクト」、通称SRC-CAPは、2015年3月に開始されました。日本の援助で作られた総延長約160キロメートルにも及ぶ幹線道路であるシンズリ道路の沿線にある地域を対象に、アジアで初めてSHEPアプローチを取り入れたプロジェクトとして活動しています。

プロジェクトの活動内容

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生産者による市場調査の様子

SRC-CAPでは、商業的農業を促進し、市場向けの農産物生産のための営農システムを確立することにより、シンズリ道路沿線地域の生産者達の収入向上に寄与していくことを目的にしています。そのために、プロジェクトでは、対象生産者グループが周囲の生産者達のモデルとなれるようにカウンターパート(相手国政府関係者)と活動しています。

SRC-CAPの活動は、野菜を対象として、栽培技術の向上を目指すといった生産面と、ニーズを知るために農家自らが市場調査を行うといったマーケティング面の2本柱で展開しています。活動の結果、第1サイクル全ての生産者グループでは、プロジェクト開始前と比べて一人当たり約5割ほど収益が上がりました。そうした活動は、商業的農業を促進する普及パッケージとして、先方政府による将来の広域展開も期待されています。

現場ではたくさんの"気づき"が生まれています

SRC-CAPの活動は折り返し地点を過ぎて、いよいよ最後の第3サイクルの活動が始まったところです。これまでの活動では、生産者グループのメンバーから、「取引先が増えたし、市場関係者と良い関係を築けるようになった」や、「(経費が高くついていて)思ったより利益が少なかったことがわかった」といった声が聞こえています。また、SRC-CAPの6割は女性で「夫や家族と一緒に営農計画を立てるようになった」や、「自分で稼いだお金で新しいビジネスを始めた」など家計にも変化がでています。

第3サイクルでは、各グループが市場調査の結果等から何を育てるか計画づくりをしているところですが、「市場調査に行って、野菜をサイズや品質で等級に分けて出荷することが大事だということを知った」と言った声など、活動の中で彼等自身の発見があったようです。また、普及員からも、「今まで主に野菜の栽培方法を農家に指導していたが、実際に市場に連れて行ってマーケティングに関して学ぶことも重要だとわかった」と、彼らの働く姿勢にも変化が見えてきました。

そんな風に、プロジェクト活動の中で、普及員や生産者たち自身が考え、行動しながら、いろいろな場面でたくさんの"気づき"が生まれています。

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マーケティングに関する紙芝居を見せながら市場との関わりを説明する普及員

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グループとしての計画づくりの様子。メンバーで投票して作物を決めている。