農村部の女性たちの挑戦-エジプトにおけるSHEPアプローチ:ISMAP-

2018年3月22日

エジプト国小規模農家の市場志向型農業改善プロジェクト(ISMAP)では、SHEPアプローチを基本としながらも、上エジプトの文化的な背景に沿って活動の進め方を工夫してきました。上エジプトの農村部では、男女隔離規範が根強く、一部では女性が外で働くことを恥と捉える文化があるため、プロジェクトは男性と女性、別々に活動を進めてきました。

女性たちは、家庭と両立しやすい家禽類の飼育や加工品の販売に意欲を見せていました。そこで、プロジェクトは、新たなビジネスアイディアを考える機会を提供すべく、都市部の市場やスーパーへの訪問を企画しました。そこで、比較的県都に近い村の女性たちが「私たちなら、ここに並ぶパンよりも安くて良いものが作れる」と、数人でパンの販売を始めました。

まず、彼女たちは販売先の確保に動き出し、県の農業事務所長と交渉して所内での販売許可を取り付けました。週に3-4日、消費者への対面販売を続ける中で、販売の方法や商品の工夫の仕方について、彼女たちの中ではどんどんアイディアが膨らんでいった様子。当初2種類しかなかった商品が増えていき、包装に電話番号を記載して受注配達・販売を開始、固定した販売場所も新たに増やしてきました。こうして、販売規模を拡大するとともに、材料を纏めて購入することで単価を安く仕入れて利益を拡大する工夫もしています。プロジェクトは、彼女たちがより実践的なビジネスプランを立てられるよう研修を実施し、サポートしています。「毎日、次は商品にどんな工夫をしようか、自分のビジネスを改善する方法を考えるのに忙しいです」と自信に満ちた笑顔で語る女性たち。彼女たちの活動は地元の新聞にも掲載され、話題になっています。

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プロジェクトで市場調査を支援。スーパーのパン売り場で商品を見ながらアイディアを話す女性たち

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県の農業事務所前で商品を売る女性たち。品数が2種から写真のように様々なものを売るようになりました。

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最初は農業事務所だけでしたが、他の販売場所も開拓してきています。写真左端は、アシュート県農業事務所の職員(プロジェクトのアシュート県リーダー)