\報告/JICA教材で、こんな授業しました!ver.3~小学校・理科、中学校・道徳、小学校・外国語の授業風景より~

JICA東京よりご提供した教材を活用し授業を展開されている先生より、どんな風に教材を使って授業をしているのか、どの教材がおすすめなのか、教えていただきました。(前回報告は本記事一番下のリンクから見られます)

2022年1月18日

小学校理科で食品ロスを考える?!

「共につくる私たちの未来」を見て、食料自給率について知る

今回お1人目は、宇都宮市立岡本西小学校・星笑美子先生。

===何の授業でJICA教材を利用しましたか?

小学5年生・理科・単元「雲の動きと天気の変化」の最後の1時間で活用しました!

「天気予報で食品ロスを減らす」

【授業の流れ】
1:SDGsカードを掲示し、紹介する。(SDGs A4カード)
2:めあてを掲示する。
「天気予報と食品ロスの関係を考えよう」
3:日本の食品の輸入と食品ロスについて知る。(使用教材:共につくる私たちの未来P.8)
(1)日本の食料自給率は4割。輸入が多いが、ある国では飢餓が課題。
(2)しかも“食品ロス”といって食べずに捨てている食品が多い。
(3)教科書(啓林館P.95)の動画を視聴する。
(4)天気の変化によって、気温が変化するとアイスクリームが売れたり、鍋の具材の豆腐が売れなかったり食品の販売に影響がある。また「体感温度」という概念も知ることで、仕入れを調整し、食品ロスを減らすことができる。気温や体感温度から売れ行きを予測することで、つゆでは30%も食品ロスを減らすことにつながった。
4:天気予報と食品ロスの関係について考え、ノートに記述する。
 ~子ども達のノートより~
 「天気予報は食品の仕入れにも関係していて、食品を無駄にしないことにつながっているんだ」
 「必要なものだけ買う、というのが大事。天気予報の情報は生活に役立つんだ。」

関連するSDGsシールをはって話し合う

5:今日の話題は「SDGsのどのゴールを達成するためのものか?」を考える。(使用教材:SDGs生分解シール)
(1)シールを一人一人に渡し、関連していると思うシールを選んでノートに貼る。
(2)シールを選んだわけをペアで話す。
 ~子ども達の声~
 ・2番「飢餓をゼロに」だと思うな。私たちが食料を無駄にしなければ食べられる人が増える。
 ・10番「人や国の不平等をなくそう」だと思う。食料が余ったり足りなかったりするから。
 ・13番「気候変動に具体的な対策を」だと思う。まずは天気の情報を知ること。
 ・12番「つくる責任、つかう責任」だと思う。無駄に作らず、買ったら食べる。
 ・いろいろな面でつながっていそう。
・人によって考えが違うね。
 ・理科と社会つながっているみたいだ。総合もかな。

===使用した教材のおすすめポイント教えて下さい!
・SDGsカード
遠くの児童に見やすくてよかった。
・SDGsパンフレット(共につくる私たちの未来)
マークが入っていてわかりやすかった。個別に配付して読めるようにすればよかった。
・SDGsシール
個別に作業をするためにとても有効。

SDGsを学ぶきっかけづくり

2人目は、東松山市立東中学校・奈良あすか先生。

中学2年生・道徳「SDGsについて」というテーマの授業でSDGsカードを利用しました!

【授業の流れ】
1回目の授業:JICAボランティアとして活動していた国についての紹介
2回目の授業:SDGsについて知ろう
(1)A4のSDGsカードを見せ、何のロゴか確認する
(2)SDGsの内容ついて知る
(3)NHK for schoolの動画を視聴し、日本の企業などが行っているSDGsの目標達成のための取り組みを知る
(4)生徒自身で取り組める内容をプリントに記入し、発表する
~生徒の発表より~
・エコバッグを使う
・食べ残しをしない
・使わなくなった文房具などを寄付する
・募金をする

【教材を使ってみて(奈良先生感想)】
生徒たちにSDGsについて考えるきっかけづくりの授業を行うことができました。
最近は、テレビやインターネットでSDGsについて取り上げる機会が増えてきています。今後の授業でも生徒たちが「自分ごと」として考えることのできる授業を行っていきたいです。
SDGsについてゲームやクイズで取り上げると生徒たちの反応もよかったので、そのような教材があるとさらに興味を持って学べるのではないかと思いました。

SDGsミニカードでカルタとり!

SDGsカードの日本語を見ながら英語を考えました。皆で英語を考えた後に、カードの英語を見ながら答え合わせをしました。

SDGsミニカードでカルタ遊びをしました。ALTの英語を聞いてミニカードを取ります。

文化祭で発表するテーマは何に関連しているかSDGsミニカードを使って考えました。

文化祭の様子

SDGsすごろく

3人目は千葉大学教育学部附属小学校(帰国児童学級)・土井真智子先生。

===何の授業でJICA教材を利用しましたか?

外国語の授業で使用しました!
帰国児童学級※では4年生~6年生、合計12名が一緒に外国語を学習しています。
まず、2人組でSDGsの17のゴールの日本語を見ながら英訳を考える活動をしました。(写真1)
そして、英語での表現を知った後に、SDGsミニカードを使い、ALT(外国語指導助手の先生)に英語でゴールを読み上げていただいてカルタ取りゲームをしました。(写真2)

その後は、『やさしい英語でSDGs!地球の課題を英語で学び、未来を語ろう!』という本をテキストにして、地球の課題がSDGsのどの目標と関係しているかや、それぞれの課題について今後どうしたらよいのかを英語で考える学習をしています。自分たちで調べたことや考えたことは、文化祭で発表しました。(写真3,4)

また、国連のSDGsすごろく(英語版)にも合わせて取り組みました。すごろくの中のSDGsのゴールの中に入ると、クイズカードに答え、正解するともう一度さいころをふって駒を進めることができます。すごろくの前にゴールの英文確認をするため、SDGsカードとゴールの英文をマッチングさせるゲームも行い、SDGsカードが役に立ちました。(写真5)

今回はSDGsカードをカルタのように使ってみましたが、新教材として「SDGsカルタ」があったらもっと楽しく学べるのではないかと思いました!



※帰国児童学級とは?
海外の現地校やインターナショナルスクールで一定期間の学校生活を経験した児童が、帰国後に編入する学級。