キャリアインタビュー 第6弾(最終回)!

2023年4月24日

JICAで働くスタッフは、そもそもなぜJICAに入り、どのようにして現在に至り、何を思って働いているのでしょうか?将来国際協力を目指す方への参考に、インターンの猪原が突撃インタビューして参りました!今回は第6弾(最終回)です。
福岡で生まれ、小・中・高校時代は岡山で過ごした国内事業部市民参加推進課長の日浅さん。第3弾の宇多川さんと同じく、大学時代はバックパッカーで、現在は2児の母でもあります。
最後の「報告者より」では、猪原(JICA東京インターン)との共通点も明らかに…

JICA入構前の学び

◆大学時代は何を学んでいらっしゃいましたか?

大学では主に現代史を勉強し、最初は学校の先生を目指していました。JICAの業務に必要な専門性、開発や公共政策は一般教養のレベル以上は学べておらず、もっと勉強をしておけばよかったなと考えることもありますが、JICA内で様々な部署・セクターを経験し、業務を通じて多くを学ばせていただいています。

中高時代を過ごした岡山にもある格差・貧困、そして、地方と東京の間の様々な形の格差等に関心を持っていました。大学時代は、国内の格差・貧困に加えて、途上国の貧困問題に関心を持ち、バイトでお金をためてはネパールやパキスタン、ルワンダ、タンザニア等を訪れていました。ネパールで村落開発のボランティアをしたり、タンザニアでJICAの農村開発プロジェクトを見に行ったりして、改めて国際協力・開発という分野の仕事に関心を持ちました。ルワンダでは内戦後の話を聞きとても衝撃を受けた記憶があります。

◆大学卒業からJICA入構までは何をされていたのでしょうか?

大学卒業後は、新聞社で6年間勤務しました。静岡支局や山形支局で、地方行政・教育・在日外国人問題等を記者として取材し、紙面編集も担当しました。過疎や少子高齢化、第一次産業の後継者不足、産業空洞化、農家に嫁いできたフィリピン人女性のコミュニティ等、様々な地方の実情・課題を取材することができました。また、JICAの草の根技術協力事業を活用した山形のNGOのカンボジアでの現地活動を取材したこともあり、「山形からカンボジアのコミュニティ支援をしようとしている人がいる」「カンボジアで協力したことを学生や子どもたちに直接伝えられる」ということに驚いた記憶があります。国際協力が日本の地方をも元気にする事例を知り、JICAへの関心がますます高まりました。

JICAでの経験

◆入構後はどのような部署を経験されましたか?

ネパール滞在時の様子

2004年に社会人採用で入構し、最初は、地球環境部 環境管理グループで、アジア(中国・インドネシア・マレーシア・フィリピン)の環境や下水道、廃棄物に関する案件を担当していました。2007年からはネパールに赴任し、復興支援や国づくり、上下水道の担当をしたほか、事業の総括等も経験させていただきました。ネパールは当時、王政崩壊後の民主化への移行時期で、中央集権から地方分権に変わっていくタイミングでした。憲法制定支援の一環として国会議員対象のセミナーを行ったり、日本の専門家を交えた民法の制定支援、地方の裁判所等が機能していない中でのコミュニティ調停の制度作りを支援しました。そのような、新しい国づくりに関わることができ、とてもやりがいがありました。

約3年半のネパールでの勤務を終え、帰国してからは、南アジア部 南アジア第3課(スリランカ・モルディブ担当)で、内戦後の復興、保健案件、防災案件等を担当しました。内戦終了後のスリランカでは、地域保健システムの構築や、災害脆弱国であるため、防災案件の形成を行いました。
2012年に長女を出産後、2013年からは、国内事業部の計画課で地域連携、地域活性化、広報などを担当。2015年に次女を出産後、2016年にまた南アジア部に戻りました。そして、計画課及び南アジア第二課で、ネパール国の総括と対ネパール開発計画などの取りまとめ、復興・防災、保健の案件形成等を行いました。2020年以降、現部署の国内事業部市民参加推進課に異動し、地域連携、NGO連携等を担っています。

JICA内の様々な部署で国・地域・課題を見る視点の大事さ、開発事業の難しさを学ぶことができました。

JICA入構後の変化

◆JICAに入構してから、仕事に対する考えの変化はありましたか?

JICAに入って開発協力の現場にたてたからこそ、ODAによる途上国の開発課題解決がいかに困難であり、複合的で根深いものであるかを痛感しています。相手国、実施機関がやってほしいことと、JICA側が準備できる協力メニュー、政策優先度等を鑑みながら協力内容を考えていかなければいけない難しさを知りました。また、新聞記者時代はまずその日の紙面をどう仕上げるかを考えていましたが、開発の仕事は中長期な視点で一つ一つのイッシュー・課題を深掘りし、判断していかなければいけないという仕事の姿勢を学びました。


◆JICAでの業務を通して、どのようなことを大切だとお考えですか?

専門性や経験が限られている中でも、自分は一緒に働く素晴らしい仲間たちの力を借りながら、業務・ミッション・タスクをこなせてきました。だからこそ、一緒に働く仲間が少しでも働きやすく、一緒に仕事をしたいと思ってもらえるような環境、サポート体制を作っていくことが大事だと考えています。また、プロジェクト関係者との信頼関係の構築のために、対話を重ねることで、ニーズを理解し、お互いに歩み寄っていく大事さも感じています。

また、JICAの仕事の醍醐味は次世代を見据えた仕事、ということです。子どもを2人育てていますが、「日々の自分の仕事を通じ、少しでも子どもたちにいい世界を残すために何ができるか」を問いながら仕事をしています。中長期的ビジョンを持つことはとても大事だと思っています。



報告者より…
キャリアインタビューシリーズ最終回、いかがだったでしょうか。岡山でのお話もありましたが、実は、今回インタビューをした猪原(インターン)の大先輩で、小・中学校が一緒でした。岡山という共通点があったので、特に、日浅さんが中・高生の時に疑問を持たれた「格差」については、岡山にまつわる話を沢山してくださりました。日浅さんのように、「日々の生活で身近にある問題に疑問を持つ」ことは、自分の学びだけでなく、国際協力に携わる際の原点になり、また役に立つということを、大先輩へのインタビューを通じ、強く感じました。
キャリアインタビューシリーズを締めくくらせていただきますが、JICAで働く方のキャリアにご関心がある方は、ぜひ関連リンクもご覧ください。

市民参加協力第二課 猪原彩美(インターン)