旧外部有識者事業評価委員会(第1回)の概要

1.日時:

平成20年12月25日(木)15時00分〜16時30分

2.場所:

独立行政法人国際協力機構(JICA)竹橋本部9階講堂

3.出席者:

牟田委員長、池上委員、今里委員、大野委員、澤田委員、高梨委員、田中委員、中田委員、横尾委員及びJICA関係者(永塚理事、評価部)

4.議事概要:

冒頭、JICAより、新JICA発足に伴う外部有識者事業評価委員会の設立につき言明し、参集いただいた委員に対し、就任への感謝の意を表明するとともに、今後の事業評価の取り組みに関して、忌憚のない審議を要請した。

(1)委員紹介及び委員長選任について

事務局より、委員紹介が行われた。その後、委員の満場一致により牟田委員が委員長に選任された。また、牟田委員長により、池上委員が委員長代理に指名された。

なお、委員より以下のコメントがあった。

  • これまでと同様に新JICAにおいても、引き続き委員の意見を尊重して実行していただき、そのことがわかるように事業評価年次報告書に明記していただきたい。

(2)新JICAにおける事業評価について

事務局より、新JICAにおける事業評価に関する説明を行った。

委員から出された主なコメントは以下のとおり。

  • 外務省から新JICAに移管された無償資金協力に関し、外務省からは評価のみJICAに期待されて、案件の計画についてはJICAの関与が難しい状況であれば、評価結果のフィードバックや案件の責任の所在といった点が懸念される。
  • 技術協力、円借款、無償資金協力のプロジェクトの全ての評価をJICAが行うとなると膨大な数になる。基本的には一定規模以上の案件は全て評価すべきだが、評価の精度には濃淡をつけても良いだろう。JICAが評価にかけられる資源には限りがあるため、案件を適切に精査し、説明責任を果たしながら将来に有用な知見を得ることを考えていく必要がある。
  • 無償資金協力の評価はJICA事務所や、引き続き大使館が実施することも考えられる。これまでと全く同じ要領でなくとも、当面は大使館とJICA事務所による二重評価を実施したり、質問項目を工夫することで評価の質を保つ方法もあり得る。
  • 外務省がどのような質問票をそれぞれ在外公館で使っているか、外務省が行った無償資金協力の評価の評価のようなことができれば具体的な質問票の作成に有用だろう。

(3)事業評価年次報告書2008(案)について

事務局より、事業評価年次報告書2008(案)に関し説明を行った。

委員から出されたコメントは以下のとおり。

  • 個別の評価については、非常に見やすくなっており大変良い。ウェブサイトに掲載する際は、年次報告書のサイトから個別の評価報告書にリンクされるように配慮されればこの内容で十分である。
  • 昨年まで各機関から発刊されていた年次報告書をよくここまで綺麗にまとめられたと感心している。
  • スキームによってレーティング手法が異なっている点は、レーティング結果を掲載するページにおいて改めて補足説明を記載する方が良い。特に円借款のレーティング手法については、妥当性と有効性に重み付けがされている点など、説明がなければ分かりづらい箇所もある。
  • レーティングはこれまで両機関で独自に実施され経年変化を確認していることもあり、急に手法を変えるという訳にはいかないだろうが、来年度は統一的な手法に向け工夫する必要がある。またその際には他の国際機関等と一貫性のある形で検討することが望ましい。
  • インパクト評価研究会の概要が紹介されているが、今後、成果がでてきた段階でより詳しい掲載を望む。

(4)事業評価における今後の取り組みについて

事務局より、事業評価における今後の取り組みに関し説明を行った。

委員から出されたコメントは以下のとおり。

  • 3スキーム別々に実施したものを、同一地域で行っているという理由からプログラム的に評価するのは難しいが、例えば評価時に努めて、他スキームとの連携を仮想してその効果を予測し、それを提言としてまとめてみることはできるのではないか。その積み重ねが次の案件形成に役立つかもしれない。
  • プロセス重視からアウトカム重視という原則はよいと思うが、どこまで何を対象とするかによって、適用度は違うのではないか。他方で技術協力に関しては、プロセスを重視しなければならない考え方もある。案件実施段階で実際の意識の変化がどうだったのか、自分たちでどういう新しい試みを始めたのか、正にプロセスごとのチェックを入れていかなければならない。
  • スキーム連携は重要であるが、他の援助機関ではひとつのプロジェクトの中にハード・ソフト両方が入っているのが一般的である。JICAもこれが最終的に目指すべき方向なのではないかと考える。
  • 被援助国の援助依存度や日本の援助の占める位置などによって協力プログラムの意味は異なることから、どの国にも一律に同じような概念でプログラム化を図るのは難しいのではないか。

以上