質的比較分析(QCA)

質的比較分析(Qualitative Comparative Analysis:QCA)は、事業を取り巻く要因(介入や実施機関の能力等の原因条件)とアウトカム(事業効果)の因果関係を集合論やブール代数を用いて推論する手法です。
インパクト評価と同様に、事業を取り巻く要因とアウトカムの因果関係を推論しますが、小規模な調査対象(10~50程度)でも分析可能で、コストや期間の面で、インパクト評価に比べて調査のハードルが低く活用が容易な点が特徴です。また、インタビュー等から得られた質的な情報であっても、事業の要因やアウトカムの発現の有無について、「有」を1、「無」を0、と置き換えたデータセットを作ることによって、アウトカムと要因の因果関係の推論ができることから、QCAは定性調査と定量調査の橋渡しの役割を担うと考えられます。
定量調査では、外れ値や誤差として扱われてしまうような少数のケースであっても、QCAではそのケース内で一貫した要因とアウトカムの因果関係の推論を行うことができます。定量調査のように母集団の推定はできませんが、少ないデータ数から要因とアウトカムの関係を整理し、因果関係の仮説を導く上でQCAは有益な手法です。
JICAでは、QCAにより、事業を取り巻く複数の要因のうち、どの原因条件(要因や要因の組み合わせ)がアウトカムの発現に寄与しているかを明らかにする試みを始めています。

QCAの分析手順

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分析結果

関連資料