外部有識者事業評価委員会(独立行政法人化前) 第3回会合の概要

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第2回全体会合(2002(平成14)年11月26日開催)以降に開催された2次評価専門委員会及び業績評価専門委員会の活動報告と今後の活動について議論を行いました。

以下は第3回委員会(全体会合)の議事概要です。

1.日時

2003(平成15)年7月15日(火)14時00分〜16時00分

2.場所

国際協力事業団12A会議室

3.出席者 ※全委員氏名・所属・役職

牟田委員長(兼2次評価専門委員会委員長)、古川委員(業績評価専門委員会委員長)、青山委員、杉下委員、長尾委員及びJICA関係者(JICA内部の委員会であるJICA評価検討委員会の委員)。なお、外務省経済協力局評価室、JBICプロジェクト開発部開発事業評価室及びJICA内関係者がオブザーバーとして参加した。

4.議論の経過

2次評価専門委員会及び業績評価専門委員会について、各専門委員会委員長よりこれまでの活動について説明があり、全体で質疑応答がなされた。引き続き、事務局より今後の予定について説明があった。

概要は以下のとおり。

(1)2次評価専門委員会

冒頭、牟田委員長よりこれまでの活動の報告があった。概要は次のとおり。

外部有識者によって終了時評価を2次評価する目的の一つに透明性の確保があるが、外部評価であっても次の3点の理由から内部評価より優れているとは必ずしもいえない。一つ目は事情を十分に知っている者による評価ではないこと。二つ目はJICAとの関係が完全にない訳ではないこと。三つ目は個人的な評価差があることである。外部有識者による2次評価のもう一つの目的に結果の信頼性の確保が挙げられる。これは、事情の分かった人による1次評価を他の多くの人がみることや、時間差を設けることによって信頼性が確保されるということである。

平成13年度に実施した終了時評価報告書40件を定められた評価票に基づき分析した。評価の結果、評価者によって点数が異なることが分かった。このことから、外部の人であればよいという訳ではなく、複数の人に依頼すべきであるといえる。また、例えば教訓の有用性に関する標準偏差値は大きく、意見の相違が大きいことが分かった。さらに2次評価結果を元に項目の精選を行い、新2次評価票を考案したので、次回以降活用願う。

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抽出された問題の例として評価フレームワークを取り上げると、団員構成及び人数が大きな課題といえる。調査団全体として、課題、開発及び評価の3つの専門性がカバーされるよう改善する余地がある。

評価したことが活用されなければ効果は半減することから、フィードバックメカニズムの構築が必要である。外部有識者評価委員会がその一翼を担えればと願うものである。

(※評価結果の詳細については、2003(平成15)年度11月頃に公表予定の「事業評価年次報告書2003」に掲載予定。)

各委員より出されたコメントは以下のとおり。

  • フィードバックの第一歩は、焦点を絞り込むことが大事である。それでも原因がわからないとなれば、もう一度お金と時間をかけて要因を特定することに力を注げばよい。要因特定後は、その悪いものの回数を減らすように努める。
  • フィードバックを考えるときに二つの観点がある。一つ目はあるデータからフィードバックをどう引き出すかという考え方である。二つ目はプラクティカルな側面として、フィードバック先を先に考えるものである。
  • 対象分野の専門的知識と経験、開発の視点、評価の方法を、十分理解している人材を、今後は心して発掘・育成して頂きたい。
  • 見えてなかったものが見えてくるようにするためにも、専門家と専門家ではない人の組合せが必要である。
  • 悪い面と良い面の双方を評価報告書にはっきり書くことが大事である。成功した良い面については、何故良かったのかを根拠をもってしっかりと書く。また、良かった点を他にも活用して広めていけばよい。

(2)業績評価専門委員会

古川専門委員会委員長よりこれまでの主要な論点の報告があった。概要は次のとおり。

中期計画の立案に当たっては、JICAがとりうる責任範囲が分かるようにしておく必要がある。中期目標と中期計画の関係は、目的と手段の関係にあり、中期計画は主務大臣との間での一種のPerformance agreement(業績契約)であると考え、自らの影響力を直接・間接的に行使しうる範囲を明確にする工夫が重要である。

また、公共事業の計画及び実施・管理はこれまで物量主義・投入主義であったが、結果志向に移行し始めている。JICAの事業内容とは異なるが、仕組みを考えていく上で参考となる発想があるはずである。

(3)今後の予定

2次評価の報告は2003年度の「事業評価年次報告書」に掲載するとともに、教訓・提言については8月末にドラフトができる予定の「JICA事業評価ガイドライン」の改訂版にも反映する予定である。

以上