外部有識者事業評価委員会 第13回の概要

1.日時:

平成19年7月26日(木)10時30分〜12時00分

2.場所:

独立行政法人国際協力機構(JICA) 13A会議室

3.出席者:

牟田委員長、池上委員、磯田委員、林(薫)委員、林(寛)委員、三好委員及びJICA関係者(黒木理事、企画・調整部、総務部)

4.議事概要:

(1)平成18年度事業評価活動実績及び平成19年度事業評価活動計画(案)について

事務局より、平成18年度事業評価活動実績の報告及び、平成19年度事業評価活動計画(案)を説明した。

なお、各委員から出されたコメントは以下のとおり。

  • 2008年10月に予定されている新JICA設立時の、JBIC円借款部門と現JICAの統合に向け、JBIC評価関係部署に本委員会への参加を依頼することに異論なし。
  • 統合後、新JICAが円借款・無償・技術協力の3スキームを一元的に担当することから、3スキームそれぞれの特徴を把握した評価方法、特に外部評価と内部評価などの整理を検討する必要がある。スキーム毎で分ける、あるいは投入金額の低い案件はコストを考慮して内部評価の後に2次評価の対象とする等、金額で分類するなども考えられる。

(2)JICAプログラムの評価について 

事務局より、平成18年度に試行的に実施されたJICAプログラム評価(4件)の結果概要と評価を通じて得られた課題、教訓について説明した。

これを受けて、各委員から出されたコメントは以下のとおり。

  • JICAプログラムは様々なプロジェクトの組合せから成るため、プログラムとしての終了時期を明確にするのは難しく、また円借款が加わることでプログラムは長期化することも想定される。従って、従来のプロジェクト評価の考え方を単に拡大して適用するだけではうまく機能しないだろう。
  • 相手国の開発計画等をひとつの基準として、プログラムとして一定期間活動した後に評価を行うことで、相手国の政策体系にどのように影響を与えたか、あるいは与えられるかという観点から、常に中間評価的な位置付けで実施すればよいと思う。
  • JICAプログラムのシナリオを被援助国の開発計画に整合させるとしても、各ドナーで異なるシナリオを有している場合もある。日本の影響力が強い国においては日本がリードすればよいが、実際には同じシナリオに統一するのは容易ではない。
  • プログラム目標に対して、JICAの貢献度を高め成果を得るには、アウトカムをコントロールできる政策や計画策定に関わるポジションに、JICAの人材を投入するべきである。また、プログラム目標に対して、直接的な関与ではなくともマネージメントやコーディネーション面での関与をも評価できるとよい。
  • JICAプロジェクトは計画どおりに実施されなかったものの、他ドナーのカバーによりJICAプログラムの目標が達成できるケースやその逆など、目標達成に関しては様々な状況が想定される。例えば、他機関の案件実施がプログラム目標達成の必須条件であるにもかかわらず他機関が実施しない場合、仮にJICAが1案件に“100”の投入を予定していたものを“25”ずつ4案件に投入を分配するという選択肢もあり得るということである。
  • 実施段階から、既存の複数のプロジェクトを組み合わせて「プログラム」と称しても、プログラムのアプローチ自体が成立せず、プログラム評価としても成り立たないことから、プログラムの形成段階からプログラム化されている必要がある。
  • 他ドナーの中には、目的が明確なファンドに資金を拠出すると共に、パッケージ化されたキャンペーンを展開する動きがある。プログラムの中で他機関との関係を考えると、資金の流れが変わってくる可能性もあり、その中でJICAらしさを出すための施策が必要であると思う。
  • 「貢献」と「帰属」の概念については、まずは貢献を重視する方向で取り組めばよいだろう。

(3)事業評価年次報告書2007の作成及び平成19年度2次評価実施方針(案)について

事務局より、事業評価年次報告書2007の作成及び平成19年度2次評価実施方針(案)について説明した。

これを受けて、各委員から出されたコメントは以下のとおり。

  • 2次評価に基づくレーティング(段階による評定)について、現在は評価5項目ごとに評点を出しているが、これらを単純に合算してレーティングすればよいものか疑問である。他方、5項目にそれぞれ重み付けをするとしても、どのように加重するのかは検討を要する。JBICが採用しているレーティング手法が技術協力へ適用できないか既に検討してみたが困難であった。
  • 評価5項目に共通の重み付けをするのは困難であり、本来ならばプロジェクト毎に解釈を行う必要がある。
  • 解釈で総合的に評価する場合、評価者により重みの置き所が異なる可能性があるので、評価者が重み付けを論理的に説明できる必要がある。
  • プロジェクトのロジックをインプリメンテーションとセオリーの2つの面から捉えて、5項目を議論した上で整理するという2段構えの方法もあると思う。
  • レーティングについては、幾つか工夫しながらシミュレーションを試みる。
  • 今年度の2次評価も、昨年度と同様に作業部会を置き、作業部会で実務を執り行う。

以上