外部有識者事業評価委員会 第14回の概要

1.日時:

平成19年12月4日(火)16時00分〜17時30分

2.場所:

独立行政法人国際協力機構(JICA) 13A会議室

3.出席者:

牟田委員長、青山委員、池上委員、磯田委員、杉下委員、長尾委員、中山氏(林寛爾委員の代理出席)、JICA関係者(黒木理事、総務部、企画・調整部、社会開発部、地球環境部、農村開発部)及びJBIC関係者(オブザーバー参加)

4.議事概要:

(1)新JICAにおける事業評価のあり方にかかる検討状況について

事務局より、平成20年10月に予定されている新JICA発足後の事業評価のあり方にかかる検討状況を説明した。

主要な議論は以下のとおり。

  • 新JICAで担当する技術協力、円借款及び無償資金協力の評価にあたっては、個々のスキームの特性に配慮し、新JICAの事業評価全体の整合性を図るような制度設計を検討する。
  • 新JICAにおける外部有識者事業評価委員会のあり方についても検討する。

(2)コスト効率性評価のあり方に関する事例調査について

事務局より、「コスト効率性評価のあり方に関する事例調査」の状況について説明した。

各委員からのコメントは以下のとおり。

  • 必要なコストの妥当性を説明できなければ、説明責任に支障をきたしかねないことから、コスト効率性評価は、プロジェクトコストの妥当性を示す試みとして大変有用である。
  • プロジェクトのアウトプットやアウトカムは、被援助国側のインプットもあって達成されるため、被援助国側の負担を含めたコスト効率性の検証が必要である。
  • プロジェクトのアウトカムの捉え方により、コスト効率性の表し方は大きく変わることに留意が必要。
  • 例えばプロジェクトコストに職員の人件費も含めて算出するなど世界銀行の例も参考にしてはどうか。
  • 個々の事業の費用対効果の意味での案件実施における効率性の指標という側面と、被援助国側とのコストシェアをどう実施していくかという側面の両者について考える必要がある。案件終了後の自立発展性の観点から、相手国側が相当分のコスト負担を検討するため、今後はJICA側の投入総額を相手国側に示していく必要がある。

(3)平成19年度の2次評価結果について

牟田委員長より、今年度の2次評価結果について説明いただいた。

各委員からのコメントは以下のとおり。

  • 提言の中でもプロジェクト目標と上位目標の明確な因果関係について言及されているが、上位目標がマクロ的視点に立脚している場合にはその把握は難しい。上位目標とはプロジェクトのアウトカムとして、近い将来実現可能なレベルに設定するべきであり、その設定については、評価担当者が理解しやすいようにガイドライン等で具体的な事例を挙げ、明確にすることも一案である。
  • 「教訓」に対する評点が低いことから、教訓の抽出方法をマニュアルとして整備するよう提言に加えてはどうか。
  • 本部主管と在外主管による評価を比較検証した場合、在外主管案件の「評価可能性」の評点が低いが、これは評価手法の問題ではなく評価計画の立案能力の問題による可能性もある。評価可能性が低ければ、その他の評価項目の評点も総じて低くなるのは当然であり、在外事務所の立案能力の向上について提言で述べるべきである。また、ここでは本部と在外の評価調査団の立案能力の差異による可能性もあることから、在外主管案件の評価は誰がどの様に行ったかさらに分析するべきである。
  • 在外主管による評価の「提言の活用可能性」の評点が低いが、過去の調査結果では在外主管で評価を行う方が有益な提言が抽出されると言われている。これは今年度は在外主管案件の対象事例が8案件と少ないことに起因するものではなかろうか。
  • 保健医療分野の評点の平均が低くなっているのは、終了時評価の質が最も低い特殊な事例が含まれていることに起因している可能性があるため、この案件を含む単純平均で保健医療分野の案件の質を判断してよいか検討の必要がある。
  • 2次評価の結果をより分かりやすくするため、2次評価の概要及び2次評価から導き出された提言を要約としてまとめ2次評価結果の冒頭に挿入する。
  • これまで、2次評価での提言が「JICA事業評価ガイドライン」の改訂につながるなど、JICAの評価の質の向上に対し一定の成果をあげてきた。新JICAが発足後も新しい評価制度に応じた2次評価を考えてもよいと思う。
  • 新JICAでは技術協力、無償資金協力さらには円借款のすべての評価実施案件を対象に2次評価を行うのは、作業量から考えると困難なため、例えば、サンプリング評価や隔年実施などの工夫も必要。あるいは、来年度を含む過去5年分の2次評価結果を基に横断的な分析を行うことにより、2次評価を一旦終了してもよいかもしれない。

以上