2002年度 円借款事業評価報告書

円借款の事後評価結果(2002年)の公表について

国際協力銀行では、2001年度(平成13年度)中に実施した円借款事業の事後評価について、その評価結果を取りまとめた「円借款案件事後評価報告書2002(要約版)」を発行しました。円借款業務の透明性、国民の皆様に対する説明責任(アカウンタビリティ)向上の観点から、このホームページでも評価結果をご紹介しております。

事後評価結果のポイントは以下の通りです。

評価カバー率100%を達成

これまで完成した円借款事業のうち、事後評価が行われていなかった案件(プロジェクト)がいくつかありましたが、完成した案件すべてについて事後評価を実施することを目標として取り組んできた結果、完成後2年以上を経た案件についてはすべて事後評価を完了しました。

評価カバー率の推移

評価年度評価対象事業数*
(累計)
当該年度**
評価事業数
評価済み事業数
(累計)
評価カバー率
(累計)
19998525966278%
200091011077285%
2001(今回)928156928100%
* 2000年度までは完成後2年目以降の全事業数。2001年度以降は、完成後2年目以降の事業のうち、1980年度以前の完成案件、全額償還済みの案件、評価継続中の案件等を除く。
** 再評価(同一事業に関する2回目の事後評価)を除く。

第三者評価の拡充

事後評価に際し、高い専門性が求められるものについては、外部の有識者に評価を委託しました。これを国際協力銀行では「第三者評価」と呼んでいます。今回の事後評価では、初めて日本のNGOに評価を委託しました(バングラデシュ農村開発信用事業)。
また、プロジェクト評価については、途上国の有識者(大学教授や研究者など)からも評価の結果に対する意見をいただき、報告書に載せることにしました。
国際協力銀行では、これら第三者の活用が事後評価の客観性の向上につながると考えています。

評価結果のフィードバックの充実

2002年10月に外務省・国際協力事業団(JICA)・日本評価学会との共催で、バングラデシュを事例とした「ODA評価セミナー」を実施したほか、評価の結果を幅広くフィードバックするためのセミナーを内外で実施しました。また、2002年6月には、外部の有識者を委員に含む「円借款事後評価フィードバック委員会」を設置し、これまでの評価結果を踏まえたフィードバック事項やフィードバックのあり方について、外部有識者の意見を積極的に取り入れるようにしました。

国別・セクター別概評の作成

2000年度までのプロジェクト評価の結果を踏まえ、4ヶ国(中国、フィリピン、タイ、スリランカ)及び3セクター(電力、道路、上下水道)について、過去の円借款事業を総括し、当該国およびセクターにおける今後の円借款事業に対する教訓・提言を整理しました。

国際協力銀行では、今回の事後評価から得られた教訓・提言を今後の円借款業務に反映するとともに、以下の5項目を重点目標に評価活動を続けていく予定です。
また、途上国の評価能力向上のため、途上国人材を対象とした研修の実施、途上国との合同評価も積極的に推進していきます。

<国際協力銀行 円借款事業の事後評価における重点項目>
(1)評価カバー率100%の維持
(2)第三者評価のより一層の拡充
(3)一貫した評価手法・指標の確立
(4)評価結果のフィードバックの充実
(5)大学・研究機関・NGOとの連携強化

円借款の事後評価に関するFAQ

Q1:円借款の事後評価とは何ですか
A1:円借款の事後評価は、事業が完成した後、各事業の審査段階から事業の実施、実施後の運営・維持管理に至るまでをチェックし、事業が適正に実施されたかどうか、途上国のためになっているかどうかなどを評価するものです。さらに、事業の成功要因や失敗要因を正しく把握・分析することによって、将来の円借款業務に向けた教訓を得ることも目的としています。
   
Q2:事後評価は実際にどのようになされていますか
A2:国際協力銀行の事後評価には大きく分けて次の2種類があります。
(1) プロジェクト評価
個別のプロジェクトごとに実施する事後評価です。事業の完成後2年目を目処として実施しています。
(2)プログラム評価
プロジェクトよりも大きな視野で実施する事後評価です。円借款の重点地域、分野などにおいて、円借款が目標とする経済成長や貧困削減にどのような貢献をしたかを把握・分析するものです。そのため、複数の途上国にまたがるプロジェクトを評価したり、ある国で実施された複数のプロジェクトをまとめて評価したりすることもあります。
   
Q3:事後評価の結果はどのように使われますか
A3:事後評価の結果については、国際協力銀行内部だけでなく、事業を実施した途上国政府や実施機関などにもフィードバックされ、今後の活動への教訓として活用されます。また、出版物やホームページを通じて広く公表し、円借款業務の透明性・説明責任の向上に役立てています。