ベトナム鉄鋼規格の運用改善を目指して 〜ベトナム日本センターと共英スチールベトナムが協力して研修実施〜

2016年3月17日

様々な機関から52名が参加

2016年3月10日(木)〜11日(金)、ベトナム日本人材協力センター(VJCC-ハノイ)は、共英スチールベトナム社と協力して、「鉄鋼製品の品質要求」をテーマに研修を実施しました。VJCCが特定の産業分野でそのニーズに沿った研修を実施するのは今回が初めてですが、ベトナム製造業の発展に繋がるものであるとの観点から開催に至りました。

ベトナムでは援助国による様々なプロジェクトが実施されていることから、鉄鋼製品に関して、ベトナム、日本、アメリカ、イギリスの規格が混在しています。また、規格解釈が先行し、不合格という判断がされるものの、実際には使用上問題ないケースが多くあります。この問題に対して、共英スチールベトナムがいかに対応してきたかの実例紹介と、規格が求める品質の本質を考察することによって、今後のあるべき方向性を共有することが研修の目的です。

研修には、鉄鋼に関する政策立案省庁、検査・研究所、税関、大学、取り扱い業者、製造業者から52名が参加しました。中には複数名を送ってくる機関もあり、本研修への興味の強さが伺われました。

講師は共英スチールベトナム社の星野副社長

1日目は、共英スチールベトナム社の副社長である星野氏から、鉄の作り方、及び土木・建築構造設計から要求される鉄筋の品質等に関して講義がありました。また、日本、アメリカ、ベトナムの鉄筋コンクリート用棒鋼規格の比較解説があり、これらの説明に対して出席者からは活発に質問が挙げられ、白熱した議論が展開されました。

鉄筋の製造工程を見学

2日目はハノイから約2時間のニンビン省にある共英スチール社を訪問し、鉄筋の生産現場を見学するとともに、研究所にて表面に微細な瑕(シーム瑕)がある鉄筋の強度試験を行い、鉄筋に対するその影響を実地に観察しました。この試験により、シーム瑕があっても鉄筋の強度に問題はないことが示されましたが、この結果についても特に試験官の方たちから多くの質問が出され、活発な意見交換がなされました。


強度試験の結果を確認

研修の最後にあたり星野氏は、「数か国の鉄鋼規格が混在し、かつ試験官やコンサルタントにより試験の合否判定がばらついているベトナムの現状が今後改善されることを期待したい。」と語りました。VJCCとしても、今回の研修がその第一歩となり、ベトナムの工業化推進の一躍を担うことを祈っています。