第7期経営塾第4回フォローアップセミナー〜従業員育成のための人事評価制度の構築〜

2016年4月13日

元経営塾受講生を含め、53名が参加

 2016年3月26日(土)、ベトナム日本人材協力センター(VJCC−ハノイ)で実施されている経営塾の今期4回目のフォローアップセミナーが開催されました。経営塾はベトナム産業界を牽引する企業経営者を育成する長期コースで現在第7期の27名が学んでいます。フォローアップセミナーでは経営塾で学んだことを実際にどうやってそれぞれの企業で実践しているのか、塾生の企業を訪問し、過去の塾生を交えお互いに学んでいます。
 今回は第2期から7期まで、6期続けて幹部を経営塾に参加させているBMC社を訪問し、同社の人事管理制度の構築について学びました。参加者は53名でした。

BMCのVu Van Nhan社長

当日はBMC社長のVu Va Nhan氏からの発表がありました。
BMC社は2002年に設立された農薬散布機器製造の会社です。BMC社は、「人材管理は企業の全部門に関わり、企業成績に直接影響を及ぼすもの」と、人材管理の重要さを認識し、その重要な要素として、能力ある人材の発掘、人材研修、企業成績と個人評価を結ぶ人事評価の構築等を挙げています。この理念のもと、<従業員の成長>→<企業成績の向上>→<従業員待遇の向上>→<従業員の成長>のサイクルを実現すべく、人事評価及び賃金制度の構築に取り組みました。

【画像】人事評価・賃金制度の最初の導入は2014年。それまでは、明確な職務分掌、評価基準、給与体系はなく、個人の業務と会社の業績との関係も示されていませんでした。導入当時は教科書にのっとってただ実施しただけで、評価項目に関する従業員との話し合いも、評価後の従業員に対するフィードバックもありませんでした。その結果、従業員が仕組みを理解せず、強制的にやらせていた感があったと言います。この失敗を受け、2015年からは外部コンサルタントの指導を受けるとともに、従業員に評価制度の必要性を説明し、評価制度導入の意欲を沸かせました。毎月部門毎に導入を進めて行き、5カ月間をかけ全社導入に至りました。結果として、評価制度導入により、従業員のやる気が増したとのことです。

BMCの作業現場

評価制度導入の過程で同社が得た教訓はいくつかありますが、1.導入に関わる幹部が全員積極的なこと、2.従業員に対するしっかりした説明がされ、従業員も制度を理解していること、3.評価の際には、その結果だけでなく、すべてのプロセスに注意を払うこと、が主だった点としてあげられます。

次のステップは、従業員が適当な賃金グレードにいるかどうかチェックすることだそうですが、もし自分の能力より高い給料を貰っている従業員がいた場合には、給与を下げることをせず、6〜12カ月の研修期間を設けるとのこと。まさしく「人材育成のための評価」が実践されようとしています。

コメントする経営塾の山崎講師

今回のフォローアップセミナーに同行した経営塾講師の山崎京子氏は、 Nhan社長の発表に対し、「BMC社は経営塾の第2期から参加し、今期まで6期連続で幹部が参加している。今回発表された人事制度の導入にあたっては、このVJCCでの連続学習が大きかったのではないか。共通認識を持つ経営幹部が多くいたことで、意思決定と実行が速かったと考えられる。日本の諺に“仏作って魂入れず”というのがある。外見の形だけ体裁を整えるのではなく、魂をどう宿らせるかが大切という意味であるが、BMC社の今回の取り組みはBSCや人事評価制度という仏像に、人材育成という魂を吹き込んだ作業であったと思う。」とコメントしました。