第7回中央アジアトレードフォーラムに域内日本センターが共同で参加

2017年10月31日

 2017年の中央アジアトレードフォーラム(Central Asia Trade Forum)が10月18日、19日の両日、カザフスタンのアルマトゥイ市内のホテルで開かれ、JICA・日本センター(カザフスタン、キルギス及びウズベキスタン日本センター)としてこれに参加しました。同フォーラムは、USAIDが主催し、中央アジア諸国の行政関係者、民間事業者、国際機関関係者などが会する域内最大規模の貿易関連の会合。 第7回となる今年のフォーラムでは、園芸作物の貿易をテーマとして取り上げ、GIZ、EBRD、Crown Agents、Global G.A.Pなど官民11の機関がパートナーとして加わり実施されたものですが、JICAがパートナーとして加わるのは初めてのことです。フォーラムでは、ウズベキスタン日本センターからの推薦により、同センタービジネスコース修了者で、タシケントにて中小事業者の貿易実務支援の企業を営むオリムホノフ氏がパネルディスカッションのスピーカーとして登壇し、民間企業の産品輸出に携わってきた経験から得た知見を紹介しました。また、会議と並行して行われた展示会では、JICA・日本センターとしてもブースを設け、カザフスタン、ウズベキスタン両日本センターのスタッフがビジネスコースなどセンターの活動を紹介しました。

 中央アジア諸国は内陸地域にあり、人口も概して疎な地域。産品の輸出には、輸送などの手間や手段、供給規模の制約、産品の付加価値の少なさや輸入国側の基準への適合性などの課題があります。また、従来、同地域にとり主要な輸出市場となってきたロシアの景気低迷による市場規模縮小も課題となっています。一方で、鉄道、道路などのインフラ整備や国境での通関手続きの効率化が今後の域内外との貿易の促進につながると考えられています。さらには、今回のフォーラムのテーマとなった園芸作物の分野では、中央アジアの気候など特性を活かした有機農業の推進など、新たな市場の開拓のため輸出産品の品質の確保や技術革新を図る動きもあり、フォーラムでは、こうした状況を踏まえて、今後、域内外の各国が協力し、産業の発展を図っていく方策が話し合われました。

 中央アジア諸国の産業振興のため、域内外の市場とのソフト・ハード両面での連結性の強化は不可欠の課題。多くの開発パートナーの協力により進められている取り組みを踏まえ、国境を超えるバリューチェーン展開にも対応したビジネス人材の育成や産品、プロセスの革新に貢献していくことも、今後の日本センターでの事業展開のなかで重要になっています。今回のフォーラムでも、前出のオリムホノフ氏をはじめ実際のビジネスに携わる参加者から、国際的なビジネス展開に必要な知識(knowledge)とその習熟のための教育研修が必要であり、このための協力が求められるとの意見がありました。
 また、域内の連結性が高まることにより、3つの日本センター同士の連携を強めていくことも重要です。日本センターのビジネスコース修了者同士がネットワークを形成し、ビジネスパートナーとして事業を展開するような事例も近い将来出てくるかもしれません。今回のフォーラムへの共同参加はこのきっかけとなるものでした。

(文責 ウズベキスタン日本センター 高田裕彦)

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展示会場のJICA・日本センターブース前で。カザフスタン日本センターのオラズガリエヴァ所長と阿部専門家(左から3人目と4人目)、ウズベキスタン日本センターのハビブラエフ所長(左から2人目)、ブース運営にあたった両センターのスタッフ。

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パネルセッションで発表を行うオリムホノフ氏。国際機関の協力を得て、食品の品質管理のための教育研修を実施することなどを提案中。

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多くの参加者で会場がいっぱいとなった全体会合