所長あいさつ

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2018年3月よりベトナム事務所長に着任いたしました小中(こなか)です。
これまでの在外駐在経験は、インド、中国であり、今回アセアン地域における重要国ベトナムで勤務できることに喜びを感じています。

JICAの技術協力を通じ支援中の日越大学において学長を務める古田元夫先生は、近著『ベトナムの基礎知識』にて「臨機応変、融通無碍なベトナムの特質を『水』にたとえるベトナムの研究者もいる。自動車やオートバイが一見無秩序に自分の行きたい方向に突っ込んでくる運転が基本のベトナムの大都市の道路で、それなりに交通が流れているのも、『水』の流れのようなものと考えると納得がいくような気もする」と書かれていますが、着任間もない私にとって、当地のスリリングな道路事情を「水」と感じる余裕を持つにはもう少し時間がかかりそうです。

さて、ベトナムは順調な経済成長(2017年の実質GDP成長率6.8%、2018年1月~3月期7.38%)を遂げている一方、成長に伴う新たな課題(格差拡大、環境問題、中進国の罠への対応等)も顕在化しつつあります。ベトナム向け政府開発援助(ODA)の重点分野である1)成長と競争力強化、2)脆弱性への対応、3)ガバナンスの強化の三本柱は、ベトナムの新たな開発課題の解決に基本的に適合していると言えます。こうした重点分野に対し、円借款、無償資金協力、技術協力(含むボランティア事業)といった主要スキームを有機的に組み合わせて効果の最大化を図って参りたいと考えます。加えて、私自身が直前にJICA本部で民間連携事業を所掌していたこともあり、現下の公的債務増抑制というベトナム政府の方針を踏まえるなら、日本企業をはじめとする民間セクターを通じた支援スキーム(海外投融資や中小企業等の提案型事業等)の積極的な活用がますます重要になってくるとの思いも強く持っています。

業務の実施にあたっては、ベトナムが政治・経済的に転期を迎えつつあることに鑑み、情報収集・分析の強化、手続き処理を含めスピード感をもった対応、円滑な事業進捗に向けたステークホルダーとの粘り強い交渉等に留意して参りたいと考えます。また、63ある省・直轄市のうち、なるべく多くの地域を訪問し、地域の個別実情に即した支援方式について協議・模索できればとも思います。このためにも、両国政府関係者のみならず、企業・地方自治体・NGO、更には国際機関等を含めた幅広いパートナーとの密な連携に努めていく所存です。

JICAは昨年「信頼で世界をつなぐ」という新たな組織ビジョンを定めました。2018年は日越外交関係樹立45周年にあたりますが、これまで日越両国間の「信頼」関係を築きあげてきた諸先輩方のご努力と成果を引き継ぎ、また発展すべく精進して参りたいと思いますので、ご支援・ご協力のほど宜しく願います。

JICAベトナム事務所長 小中鉄雄