所長あいさつ

【画像】

日越両国間の様々な交流が活発化し、両国の関係は非常に良好です。昨年9月にはJICA北岡理事長も、就任後初めて訪問しました。今年は天皇皇后両陛下のご訪問、両国首脳の相互訪問も予定されるなど、両国関係の更なる緊密化が期待されます。JICAは、日本の開発協力の実施機関として、着実にその役割を果たして参ります。

さて、昨年の現政権発足以降、5か年計画のもと、より具体的な政策や計画が策定、実施されつつあり、2017年はそれが本格化すると見込まれます。越政府の指導者のメッセージでは、新たな経済成長モデルの必要性、規律ある財政・公的債務管理、制度改革、国際経済統合、環境保全、気候変動対策等がたびたび強調されています。日本政府・大使館の方針のもと、JICAは、ベトナムの発展にとって何が重要か越政府と協議し、目標を設定したうえで、総合的・戦略的に優先順位を付けて取り組んで参ります。

なお、今年以降、特に留意すべき点として、越政府が打ち出した公的債務抑制方針があります。これは円借款事業に影響を及ぼす可能性があります。JICAは、この越政府の方針を尊重しつつ、将来の発展のための公共投資・インフラ整備の必要性、円借款の有効性に関する越側の理解を醸成し、円借款を含めた開発資金がバランス良くかつ効率的に活用されるよう、越政府と対話をしていきます。

2017年においても、事務所長就任時に掲げた4つのポイントを引き続き意識して業務に取り組む所存です(1.新政権の政策や5か年計画に沿い、様々な制度改革を支援する、2.開発効果の高い事業を、スピード感を持って実施し、持続的な成果を実現する、3.日本の民間・公的セクターの知見や技術を活かす、4.JICAの開発協力の透明性を高め説明責任を果たす)。それぞれについて、2017年の方向性を短く述べます。

  1. 制度改革の支援:昨年、首相・主要閣僚に提出した「国営企業・銀行セクター改革に係る提言書」は、越政府の改革の実施に取り入れられるなど効果がありました。今年も、多くの技術協力プロジェクトの成果をもとに、制度改革をハイレベルに働きかけていきます。また、新たに要請された技術協力には早期に着手します。
  2. 持続的な開発効果の実現:多くの方々のご尽力により日越大学が開校したことは昨年の大きな成果の一つです。他方、越政府の承認手続きや関係省庁間の調整の遅延、予算不足のため、事業の開始・進捗に遅延や、コントラクターへの未払いが生じました。越政府にこれら問題の是正を求めるとともに改善を支援し、開発効果の早期発現を目指して、事業の立ち上げ、進捗促進を図っていきます。特に、ハノイでは交通混雑が日々深刻化しており、都市鉄道1号線、2号線事業の早期再開に向けて重点的に取り組む方針です。
  3. 日本の知見や技術の活用:「質の高いインフラ」、中小企業海外展開支援、草の根技術協力、ボランティア等、ベトナムの開発課題の解決に貢献しているものが多数あり、更に推進します。特に、中小企業支援では、JICAの支援をもとに、当地でのビジネスに発展する事例がいくつも出てきています。地方自治体、大学、医療機関、企業等、すでに独自に事業・協力・交流に取り組んでおられる例も多数あり、JICAはそれらが拡大・深化するよう支援します。
  4. 透明性と説明責任:円借款事業のウエブモニタリング・システムの公開・運用、昨年開始した計画投資省に対する公共投資モニタリング・システムを導入する技術協力プロジェクトも促進を図ります。また、JICA事業に対する理解・支持を醸成する広報活動を積極的に行います。

引き続き事業に対するご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。

(JICAベトナム事務所長 藤田安男)