所長あいさつ

南米大陸南東部に位置するウルグアイは、日本からみて地球の反対側に位置しており、人口は約350万人、面積は日本の半分弱という小国です。然しながら、南米で最も民主主義が確立した国の一つとして政治的・社会的にも安定しており、自由貿易の推進や対外経済関係の多角化を積極的に進めるなど「自由で開かれた経済政策」を展開しています。主要産業は農牧林業であり、肉類・セルロース・大豆・米が主要輸出品目です。2019年には日本との間で牛肉の相互輸出が解禁され、「Natural Beef」として日本のレストランのメニューにも見かけるようになるなど、牛肉の供給国としても注目されています。また、近年は港湾等の物流ハブ機能の拡大、フリーゾーンの整備、外国資本の積極的導入に力を入れています。

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ウルグアイ全体としてはジニ係数が改善されているものの農村部と首都モンテビデオの住民の格差は依然として残されております。また、洪水・干ばつの頻度の増加など気候変動による農牧林業部門及び主要エネルギー源である水力発電への深刻な影響、廃棄物管理や河川の水質汚濁等の環境問題が主要な開発課題として挙げられています。このことから、ウルグアイの「質の高い成長」を実現するための国際協力が必要とされています。

ウルグアイは2018年1月にOECD・DACの援助受取国リストを卒業していますが、これら開発課題の解決のため、JICAは引き続きウルグアイに対する業務を継続する方針を決定しました。また、ウルグアイは振興ドナーとしての取り組みを進める事に意欲的であることから、JICAはこれまでの日本の技術協力等の知見を活かした三角協力の展開を支援していく考えにあります。さらに、ウルグアイにおける日系社会との連携や日本の研修に参加した帰国研修員による活動の支援等を通じ、親日国であるウルグアイの将来に亘る知日派・親日派の育成にも取り組んで参ります。

新型コロナウイルスにより人の動きが大きく制限された状況が長く続いていますが、人を通じた協力の有効性と協力における適切な方法を確認しながら、日本での研修員受入及びJICA海外協力隊の派遣の再開を進めて参ります。JICAウルグアイ支所は、日本とウルグアイの両国の友好と信頼に基づく取り組みを更に進めるべく引き続き努力していく所存です。

JICAウルグアイ支所長
山本 美香