アルバニア初の大縮尺(1/2,000)デジタル地形図が完成

2021年12月20日

アルバニアで実施中のティラナ・ドゥレス地域デジタル地図作成能力向上プロジェクトの一環で、縮尺1/2,000のティラナ・ドゥレス地域約300平方キロメートルのデジタル地形図が完成しました。今回作成した地形図は大縮尺であることから、セクター別の計画立案や土地管理台帳の整備基盤など、今後さまざまな用途での活用が期待されています。

アルバニアではこれまで、このような大縮尺のデジタル地形図を作成した経験がありませんでした。このため、プロジェクト終了後にアルバニア側で確実にデジタル地形図の作成・更新ができる体制の整備や技術者の養成が行えるよう技術移転も実施してきました。測量にかかる野外作業から作図にかかる室内作業までの全体の流れを、独力で計画・実施ができることを重点としました。その結果、現在アルバニア側実施機関である地理空間情報管理事務局はさらなる地域でのデジタル地形図作成を計画、実施しており、日本の支援の成果が着実に実を結んでいます。本プロジェクトは株式会社パスコと国際航業株式会社の共同企業体への業務委託を通じて実施しています。

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ティラナ市内中心部の地形図

また今回の協力では、デジタル時代にふさわしい技術であり、国連が普及を進める国連ベクトルタイルツールキットの技術を移転しました。従来のラスター形式が地図を「画像」として扱ったのに対し、ベクトル形式では地図の点・線・面を文字データで扱うため、データの容量を小さくすることができます。しかも、ベクトル地図は伸縮自在なうえに、線路だけを取り出して路線図を作るような加工もお手の物。この技術は、国連及び日本の国土地理院が主導しているもので、安価なシングルボードコンピューターである「ラズベリーパイ」を用い、地形図データからベクトルタイルを生成、配信を可能にします。これによりインターネット上での地形図データの利活用のさらなる促進が期待されています。

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ラズベリーパイ

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ベクトルタイル

プロジェクトの終了に際し、2021年11月4日には、終了セミナーをオンラインで開催し、地理空間情報管理事務局をはじめとしたアルバニアの関係諸機関、自治体から総勢66名が参加しました。セミナーでは、本プロジェクトで作成された縮尺1/2,000デジタル地形図や活動成果、利活用方法について、参加者間で情報共有されました。今後の関係諸機関での活用に弾みがつくことが期待されます。

11月5日には、地域セミナーをオンラインで開催しました。西バルカン諸国のアルバニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、コソボ、モンテネグロ、北マケドニアおよび日本、計6か国の地理空間情報機関の参加のもと開催されたこのセミナーでは、本プロジェクトの成果報告とともに、参加機関から各国の地理空間情報の整備状況や将来計画が話し合われました。このようなセミナーを通じ、西バルカン地域における地理空間情報機関のネットワーク強化が期待されます。

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終了セミナー

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地域セミナー