ベリーズ青年海外協力隊派遣20周年記念 ベリーズJOCV OB・OGたちの今3)

2021年11月17日

第3回は、岩瀬たけしさん(2005年4月赴任 16-3次隊 村落開発普及員、プンタゴルタ(PG)、トレド開発公社)です。現地ではマヤ民族の方が暮らす集落で女性の組織化や手工芸品を活用した収入源の創出に取り組みまれました。現在は東京、練馬区の区議会議員をされています。

『ベリーズの印象…「ライス&ビーンズ」。
私が持っているベリーズの印象、それはすべてを受け入れてくれる国。たくさんの材料を煮込んだライス&ビーンズ、それをそのまま文化にしたような印象です。
町を歩くと知らない人から「ヘイメン!ストレート!」(おい、元気か??)と声をかけられ、最初は距離感に戸惑ったりも。髪型やファッションを含めた生き方が皆さん個性的でお互いを受け入れている、そんな印象を受けました。その背景には、ガリフナ、マヤ、メスチーソ、クレオールすべての文化が混じりあっている奇跡のような環境があると思います。

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活動の光と影…「長女だから結婚するな、そう言われたの」

私の活動したマヤの村落は当時、電気もガスも水道もなく、そのうえバスは3日に一本しかありませんでした。そんな「不便さ」の中で、人々の繋がり、優しさは印象的でした。しかしそこには哀しさもあった。私が親しくしていた女性はとても真面目で優秀、バスケットを作るときも一番丁寧でした。しかし、しばらくして話を伺うと、彼女は長女だから、ということで小学校にしか通うことができず、親の面倒を見るために結婚も許されなかったとのこと。とても悲しそうな顔は今でも覚えています。

ベリーズでの経験が現在にどのように繋がっているか…「マイノリティが生きやすい町は誰にとっても住みやすい」

協力隊の後、開発コンサルタントとして南米やアフリカ20ヵ国以上で活動をしました。活動を続ける中で、いつもベリーズでのことが頭にありました。具体的に言えば、自分が当事者になって、地域の問題に住民の方と一緒に悩み、苦しみながら社会を変えていきたいということでした。そんな思いからフィールドを世界から地域に変え、現在は地元の練馬区で区議会議員として活動。地域政党の共同代表として、地域の問題に取り組んでいます。私の信念は「マイノリティが住みやすい町は誰にとってもすみやすい」ということ。見方を変えれば誰もがマイノリティになる中で、外国人の方もLGBTの方も、お年寄りの方も、多様な生き方こそが社会の豊かさに繋がることをベリーズから学ばせて頂きました。

ベリーズの現在の隊員へのメッセージ…「無駄なことは一つもない」

15年が経った今でも目を閉じると、PGの海岸で聞いていた波の音、ベリーズシティのドミトリ-で仲間と話し合ったことがはっきりと脳裏に浮かびます。活動で実感したのが、自分から仕事を探すことの大切さ。自分に何ができるか考えて、とにかく動くこと。例え一つ一つの事がうまく行かなかったとしても、時間が経つと人生を豊かにしてくれる、改めて実感しています。