ベリーズ青年海外協力隊派遣20周年記念 ベリーズJOCV OB・OGたちの今4)

2021年11月17日

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第四回は、古閑裕巳さん(16-1次隊、2004年7月~2006年3月、音楽隊員、Belize city「St.Ignatius Primary School」配属)です。

『初めてベリーズを訪れた時、その自然の豊かさ、美しさに驚きました。そして、何よりその様な環境に育まれたベリーズの人々の心の大らかさ、生き生きとした瞳や表情がとても印象的でした。派遣期間中は、配属先の先生方や生徒たち、スティールパンの仲間をはじめ、とても明るくフレンドリーなベリーズの人々に支えられました。生活をさせていただいた自宅の大家さんであるレスリー夫妻は、まるでベリーズの両親のように私を守り、可愛がってくださいました。すべての人々との出逢いに感謝しています。
隊員時代の活動としては、主にSt.Ignatius Schoolで音楽の授業を行いながら、先生方への講義や教科書作成、音楽祭に参加する生徒の指導を行いました。教材教具が少ない中で、生徒たちの興味関心を引き出す授業内容を考えることや言葉が通じないことに難しさを感じ、悩むこともありました。しかし、どんな時も、「Miss.Koga!」とキラキラとした瞳で人懐っこく話しかけてくれる生徒たちに救われました。ベリーズへの派遣前、私は既に日本で音楽教師として働いていましたが、ベリーズの生徒たちが生き生きと歌い、意欲的に活動する姿を見ていると、これこそが教育の原点ではないかと感じたことを覚えています。
ベリーズでの生活や音楽隊員としての活動は、現在も日本の中学校で働いている私に大きな影響を与えています。ベリーズという日本とは大きく違う国で教師としての経験をさせていただいたことで、日本という国の教育の素晴らしさや課題を改めて感じることができました。それまで「当たり前」だと感じていたことが、実は「有難い」ということ、世界は私たちが考えているよりもっともっと広いということなど、ベリーズでの経験から学んだことや感じたことを、日本の教育現場で生徒たちに伝える日々です。
また、現在、ベリーズ人の夫と2人の子どもとともに日本で生活している私。夫が来日した当時、日本において初めてのベリーズ人との結婚ということで、婚姻が認められるまでにさまざまな苦労や不安があったことも、今では懐かしい思い出です。ベリーズ人の夫が日本で生活していることで、ベリーズという国を日本に紹介するよい機会となっております。そして、将来、ベリーズと日本の血を受け継いだ2人の子どもたちが、二つの国の架け橋となってくれることを願っています。
ベリーズでの活動を終え、日本に帰国してからあっという間に13年余りが経ちました。派遣前の私は、ベリーズという国に自分ができることを与えたいという、少しおこがましい気持ちがあったように思います。しかし、活動を振り返って感じることは、与えてもらったのは私であるということ。隊員時代のベリーズでの日々は、間違いなく私の人生を豊かなものにしてくれています。現隊員のみなさんは、現在のコロナ渦において思うように活動ができず、きっともどかしさを感じておられることと思います。しかし、自分がそうであったように、さまざまな不安や悩みを含め、過ぎてみれば全てが愛しく、人生の糧となると思うのです。現隊員のみなさんの力が再びベリーズで発揮される日がやってくることを願っています。
この夏、約5年ぶりとなる故郷ベリーズへの帰国を楽しみにしていました。しかし、コロナウィルスの影響でそれも叶わず、とても残念です。どんなに離れていても、私たちは心でつながっている。ベリーズの国の家族や人々はいつも私たち家族の心の中にあります。次にみなさんとお会いできる日を楽しみに、日本からいつもベリーズの家族や人々の幸せをお祈りしています。』