ベリーズ青年海外協力隊派遣20周年記念 ベリーズJOCV OB・OGたちの今6)

2021年11月17日

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第6回は加藤倫子さん(2003年7月~2005年9月 平成15年度1次隊、青少年活動、ベリーズシティ、Belize Family Life Association配属)です。現在は、伊豆で助産師としてのお仕事をされています。ベリーズでの様々な経験は、加藤さんにとって、仕事、人生にとって、大きなインパクトとなりました。以下、ベリーズでの経験、日本でのお仕事や活動、そして思いについて、投稿いただきました。

『ベリーズといえば、活動で出会った若者たちを思い出します。一言でいえば「枠にとらわれない」人たち。自分もユースグループをつくるんだと目を輝かせて語り、カーニバルの踊りを披露してファンドレイジングした子、帰国でお別れの時にポエムをつくってくれた男の子の大人びた感性にも驚かされました。一人一人が自由でいろんな方向に伸びている。それがベリーズ!その中でも特に若者は、社会を映す鏡そのものだったのでしょう。
私は当時、Belize Family Life Association(BFLA)というNGOで若者対象の性教育の活動をしました。当時のベリーズでは若者の望まない妊娠やエイズを始めとした性感染症が問題となっていました。リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)について学ぶ機会が少ないことや男性優位なマチスモの文化などが原因でした。BFLAではカウンターパートと一緒にユースグループを立ち上げ、子どもたちへの研修の企画や地域のイベントへブースを出展したり、カーニバルでは子どもたちと飾り付けた山車に乗ってリプロダクティブ・ヘルス/ライツやエイズ予防の大切さを啓発しました。活動をする中で日本のリプロダクティブ・ヘルス/ライツについて改めて考えてみると、性に関わることはとても大切なのにどこからも十分に教えてもらっていません。これは仕事として人として、これからの一生に役立つテーマではないか感じました。
帰国後は助産師の免許を取得し、今は伊豆の市民病院の産婦人科で働いています。産み育ちの現場にいると、妊娠・出産・産後は女性や家族にとって人生の転換点であり心身にかかる負荷も大きいと実感します。若年妊娠、メンタルの不調、DVなどの事情を抱えた方もいらっしゃいますが、事の大小はともかく誰にとっても「試練があり成長もする時期」だと思うのです。だから、若いうちからこの時期についてもっと知っておいてほしいです。
そのひとつとして、地域の中学校や高校で性教育をする機会を頂いていますが、次回はベリーズのことを話してみようと思っています。ベリーズの村出身の友人は11人兄弟でしたが、彼女の母はなぜ産み続けたのか?それは教育の機会がなかったこと、Noといえない夫との関係、避妊具が高価であったり手軽に入手できないことが理由だったのでしょう。これは、遠い別の国の話なのでしょうか?日本の現状は?「性教育は人権教育」と言われています。自分のいのちをどう守り・活かすかを考える土台となるような話をしたいです。
私には1才の子どもがいて、今は子育て真っ盛りです。手や口を出す前に日々新しい世界を発見しては突き進む彼女をよく見て観察する。そして一緒に面白がる。この時期の子育てはまさに「異文化コミュニケーション」で、ここでもベリーズの体験が生きています。そして、伊豆は自然の宝庫、自然の中で子どもと遊ぶ自主保育を始めたいとママ友と盛り上がっています。豊かな空間で「枠にとらわれない」あのベリーズの若者たちのように、のびのびとご自由にどーぞ!と言ってあげたいです。
振り返ると、ベリーズでの経験は仕事に限らず私の人生の節々に生きているようです。現隊員の方もコロナで大変でしょうが、今の体験を大切になさってください。ベリーズでの2年は私の人生の中でも間違いなくSpecialな時間でした。ベリーズの方との沢山の出会いと差し伸べて頂いたやさしさに改めて感謝します。』