ブータン向け開発計画調査型技術協力「電力マスタープラン2040策定プロジェクト」終了 「電力マスタープラン2040」の策定を通じ、エネルギー安全保障と持続可能な経済発展を支援

2022年5月10日

2022年3月、国際協力機構(JICA)がブータン王国政府との間で実施してきた開発調査型技術協力「電力マスタープラン2040策定プロジェクト」が終了しました。

本案件は、同国において経済省水力発電・電気系統局職員の電力マスタープラン策定の能力強化を図るとともに、もって最適計画に基づいた水力発電及び電力系統が開発・整備され、持続可能な経済の発展に寄与することを目的として、2017年10月から実施されてきたものです。

水力発電は、ブータン国内に電力を供給するだけでなく、隣国インドへの売電収入を通じて、ブータンにとって欠かすことのできない貴重な外貨獲得手段となっています。また、こうした水力発電を中心とした再生可能エネルギーにより、ブータンは二酸化炭素の吸収量が排出量よりも多いカーボン・ネガティブを達成している数少ない国の一つです。

本案件の成果として2019年12月、「電力マスタープラン2040」が完成しました。本協力期間中、JICAは専門家の派遣や本邦研修を通じて、経済省職員の能力強化を支援してきました。また、「電力マスタープラン2040」策定の中で、経済省はJICA専門家とともに、最新の情報に基づく電力需要予測、水力ポテンシャル地点の抽出・評価、電源開発計画案や系統の将来構想の特定、経済財務分析などを実施してきました。

また、最終報告書の完成後もJICAは専門家の派遣を継続し、電力マスタープラン2040の実施を後押ししてきました。その結果、優先順位の高い水力発電所のプレフィージビリティ・スタディが実施され、揚水発電所とプーリング・ステーションの概念設計が作成されるといった成果をあげました。

2022年3月22日に行われた終了時総括ミーティングでは、経済省水力発電・電気系統局長から、JICAの長年にわたる協力への謝意が伝えられるとともに、電力セクターにおける継続的な協力要請がなされました。JICAは今後も同分野に係る協力を行うことで、エネルギー安全保障や産業基盤の強化に係る同国の取組を後押しするとともに、ブータンの持続可能な経済発展を支援していきたいと考えています。

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電力マスタープラン2040策定に係る協議

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ダムサイトにてダム基礎岩盤評価の実地指導

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水力発電所取水口にてドローンを使った調査法を指導

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