JICA海外協力隊の活動を終えて(廃棄物処理・山本)その1

2019年10月14日

皆さん、こんにちは。

私は2017年3月から2019年3月までJICA海外協力隊の廃棄物処理隊員としてボツワナ共和国に派遣されていた山本と申します。

私は大学卒業後、横浜市内の廃棄物収集運搬・処理を行う会社に就職しました。その後、JICA海外協力隊派遣が決定すると同時に日本の大学院に進学しました。ボツワナで隊員として活動しながら研究も並行して行い、帰国後1年間通学しながら修士論文を執筆しました。大学院修了後は建設コンサルタント企業に就職し、途上国の廃棄物関連プロジェクトに携わっています。

JICA海外協力隊として活動できたことが、大学院への進学と建設コンサルタント会社への就職という道につながり、今も途上国に携わることができています。JICA海外協力隊の経験を得た(もしくはこれから得られるであろう)皆さんがご自身の将来を考える際の一助となればと思い、私の経験を少しお話しさせていただきます。

ボツワナでの活動について

私はボツワナの首都・ハボロネから車で約1時間程度のモレポロレ村にあるクウェネン県庁公衆衛生部で活動し、その部署で管理している最終処分場(家庭や会社から出される廃棄物の埋立場)の運営管理の改善を目的に活動していました。具体的には最終処分場の運営に関する提言やデータ管理システムの改善、最終処分場のパンフレットや看板作成などを行いました。私はそれまで日本の廃棄物の現場しか経験がありませんが、JICA海外協力隊として派遣されたことで、途上国における廃棄物管理の現状を目の当たりにすることができました。日本とは大きく異なる環境で活動することは困難ではありましたが、同僚たちが何度も助けてくれたので、とても貴重な時間を過ごすことができました。

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同僚と

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配属先の最終処分場

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最終処分場パンフレット

JICA海外協力隊と大学院の両立

JICA海外協力隊として派遣が決まった際、私は会社を退職することと大学院への進学を決めました。ちなみに会社を休職して参加することを選ばなかったのは、JICA海外協力隊を経験したら将来やりたいことが変わってくるのではないかと思ったからです。実際、帰国前と帰国後では希望する進路・キャリアに変化がありましたので、私の場合は結果的に退職してよかったのだと思います。

一方、大学院への進学を決めた理由は、専門性を高めたいということ、休学せずにJICA海外協力隊として現地で活動しながら通える制度があったことの2つが挙げられます。大学在学中に途上国の環境問題に興味を持ち、卒業後には廃棄物関連企業に就職、JICA海外協力隊でも廃棄物処理職ということで、これまで「途上国」「廃棄物」という軸が私の中にあるのだと、将来的にそうした道で仕事をしていきたいのだと気づいたときに、大学院に進学して専門性を高める必要性を感じました。私が進学した大学院には、「JICAボランティア入試」という制度が設けられており、JICA海外協力隊として活動する2年間と帰国後1年間の通学を合わせた合計3年間で修士号を取得することができます。この制度の大きなメリットとして、休学する必要がないこと、自分の活動についても指導教授に相談できること、2年間分の学費で3年間通えること(学費に関しては別途申請が必要)などが挙げられます。

実際にボツワナでどのように大学院に通っていたかというと、ほぼ毎週土曜日にWeb会議システムを通じてゼミへ参加し、教授や他の大学院生と自身の研究進捗についてミーティングを行っていました。私の研究テーマは「最終処分場の延命化方策と評価(最終処分場を長く使うために考えられる方策とその効果を評価する)」でしたので、平日は最終処分場に搬入される廃棄物のデータ収集したり、同僚に対するヒアリング調査を実施したり、JICA海外協力隊としての活動をしつつ研究活動も実施していました。ちなみにこの研究テーマを選択したのは、私が派遣されていた最終処分場は日々増え続ける廃棄物を埋め立てていますが、あと何年その処分場を利用できるのか把握できておらず、このままではいつか受け入れ容量を超えてしまい、環境に大きな影響を与えかねないと感じ、私の研究結果が配属先の適正な廃棄物管理へと少しでも貢献できるようにと考えたからです。廃棄物管理をテーマに研究している院生が他にもいましたので、情報を交換しながら研究を進めていました。

そして帰国後1年間は残りの単位取得のため講義を受けながら修士論文の執筆を行い、今春無事修士号を取得し、卒業することができました。

終わりに

このように、JICA海外協力隊派遣と同時に大学院に進学したことで、活動の質も自分の専門性もどちらも高めていくことができたと感じています。私にとって活動と研究を両立することは決して容易ではありませんでしたが、それでも充実した活動となったのも大学院へ進学できたからだと思っています。私の場合は活動開始と同時の進学でしたが、帰国後に国内外の大学院に進学される方も多いと聞きます。入学のタイミングは違うかもしれませんが、JICA海外協力隊への参加がきっかけでもっと学びたいと思う気持ちは同じなのだと思います。皆さまも大学院進学も将来の選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

次回はJICA海外協力隊・大学院を終えた私が経験した就職活動、そして建設コンサルタント企業に就職した現在についてお話させていただきたいと思います。