JICA海外協力隊の活動を終えて(廃棄物処理・山本)その2

2020年10月19日

皆さん、こんにちは。

私は2017年3月から2019年3月までJICA海外協力隊廃棄物処理隊員としてボツワナ共和国に派遣されていた山本と申します。前回、ボツワナでの活動と大学院での研究について紹介させていただきました。今回は、大学院修了後の就職活動や、建設コンサルタント会社に就職した現在についてお話しさせていただきます。

「途上国」「廃棄物」にかかわる仕事とは

私が中学生の時に途上国の子どもたちの生活やおかれた環境について知る機会があり、それ以降海外、特に途上国について知りたい、かかわりを持ちたいと漠然と考えるようになりました。その後、国際関係が学べる大学に進学し、そこで環境分野や廃棄物分野における途上国支援に興味を持ち、卒業後に廃棄物関連企業への就職、JICA海外協力隊への参加へとつながっていきました。このような背景があるので、大学院修了後も当然のように「途上国にかかわっていきたい」「環境や廃棄物に関してより専門的な仕事がしたい」と考えていました。そう思ったときに「(建設)コンサルタント」という選択肢が頭に浮かび、まもなくして就職活動を始めることにしました。

就職活動ではコンサルタント会社を数社受けました。私の場合、社会人経験があるので経験者採用枠での応募でした。これまで新卒採用試験しか受けたことがなかったので、即戦力を求める経験者採用では面接での専門的な問いや、応募してから次のステップや合否までのスピードの速さに戸惑いましたが、これまでの経験と知識が活かせ、また自分自身を高められるような会社と出会うことができ、無事にコンサルタントとしての第一歩を踏み出すことができました。

ボランティアとして働くこと、コンサルタントとして働くこと

2020年4月より私が勤務している建設コンサルタント会社では、国内のみならずアジアやアフリカなど世界各国で、道路、鉄道、橋梁、河川、ダム、環境など幅広い分野においてプロジェクトを実施しています。私はその中でも途上国における廃棄物関連プロジェクトを担当する部署に所属しています。入社してすぐ、あるプロジェクトに参加し、現地の廃棄部管理にかかる情報の収集や廃棄物管理計画の作成などを担当しています。新型コロナウィルスの影響で海外渡航が不可能となりましたので、実際にその国を訪れて現地調査することはかないませんが、現地のナショナルスタッフたちと連携しながら業務を進めています。

働き始めてからボランティアとコンサルタントの共通点や相違点を強く感じるようになりました。ボランティアであった頃は、2年間現地のコミュニティの中で現地の人々とともに生活して、同じ目線・同じ立場で現地の時間の流れに身をおきながら活動してきました。私の派遣中、ボツワナにはほかに廃棄物処理隊員がいないため、基本的には一人で活動していました。そのため知識や経験に限りがあり、残念ながらカウンターパートの要請にすべて応じることはできませんでした。

一方、コンサルタントは出張ベース(現在は遠隔)であるため、現地に滞在する時間は短かくても必要とする情報を収集して成果につなげる必要があります。また、廃棄物管理の中でも組織・法制度、財務、機材、最終処分場、住民啓発など詳細分野においてそれぞれ専門性の高いコンサルタントが集まってチームを組んでプロジェクトにあたることになるため、実現できる(しなければならない)成果は大きくかつ多くなるのではないかと感じています。しかしながら「現地の人々の生活環境を良くしたい」という途上国を思う気持ちに従って行動を起こしていくという点においては、ボランティアもコンサルタントも変わらないと思っています。ボランティアとコンサルタントの違いについては、どちらが良いどちらが悪いということではなく、立場が違うことで現地との関わり方に変化があることは当然であり、どのように途上国と関わっていきたいのか決めるのは自分自身なのだと思います。

終わりに

私の場合、帰国後の就職活動では「途上国」「廃棄物」というキーワードに加え、「ボランティア経験が活かせる」「自分自身の成長につながる」かどうかという基準で現在のコンサルタントという職種を選びました。私は2年間JICA海外協力隊として活動する中で、自分自身の興味・関心、挑戦したいことなど将来について考える時間をとることができました。JICA海外協力隊の皆さんも、そうではない皆さんも、ぜひ自分自身の「キーワード」を見つけて、ご自身の希望に沿った仕事に出会えることを祈っております。

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海外協力隊の時の同僚と

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海外協力隊活動の一コマ