所長あいさつ

2020年9月にJICA事務所長として着任しました影山正(かげやま ただし)です。どうぞよろしくお願いします!

日本では主にアフリカのサッカー大国として名前を知られているカメルーン。2002年の日韓ワールドカップでは、カメルーン選手のキャンプ地となった大分県中津江村との交流をご記憶の方も多いかと思います。

カメルーンは、アフリカ大陸のほぼ中央部に位置し、日本の1.3倍の国土を持ち、人口は日本の5分の1の2,500万人の国です。フランス語と英語の両方が公用語となっており、270以上の民族が存在し、地形はジャングルあり海あり砂漠あり、気候は南部の熱帯雨林気候から北部に広がるサバンナ気候やステップ気候まで多様性に富んでいます。こうしたアフリカ大陸全体の特色を兼ね備えていることから、カメルーンは「アフリカの縮図」と呼ばれることが多いです。

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一人当たり国民所得は約1,500ドルで低・中所得国に位置づけられ、原油、天然ガス、鉱物資源などに恵まれているほか、豊富な降雨量を背景に、木材、カカオなどの生産も盛んで、これらは日本にも輸出されています。また、カメルーンは、産油国6カ国からなる共通通貨圏「中部アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)」の中で比較的堅調な経済運営を続けてきたものの、近年の国際的な原油価格の下落を受け、産業の更なる多角化と非石油セクターの成長促進が急務とされています。

カメルーンに対する日本の協力は、2006年に青年海外協力隊の派遣から始まりました。その後、段階的に事業規模を拡大し、今では、技術協力、無償資金協力、円借款等、様々な協力手法を組み合わせた協力を展開しています。過去の協力の中では、例えば全10州に約120校の小学校を建設しており、「日本の学校」として国民に広く知られています。また、7州において建設した深井戸は、多くの村落住民に生きるために欠かせない水を提供しています。

現在の協力では、主に農業振興、中小企業振興、インフラ整備、森林・環境保全の分野で重点的な取り組みを行っています。農業では、需要の約8割を輸入に依存しているコメの生産性向上や競争力強化を支援し、国内のコメの自給率向上を目指しています。中小企業支援に関しては、民間企業の9割以上を占める中小企業の競争力強化を図るため、日本発の「カイゼン」を通じた人材育成や制度作りを支援しています。インフラ整備については、交通・物流や電力アクセスを改善することで、地域格差是正や国内・CEMAC圏内の経済活性化を目指しつつ、道路や送配電網の整備を進めています。森林・環境保全では、カメルーンが世界第二位の熱帯雨林面積を持つコンゴ盆地に位置していることから、カメルーンのみならず同盆地周辺国にも裨益するような、森林資源の持続的な管理保全に寄与するための協力を行っています。

また、JICAカメルーン事務所は、カメルーンに加えて、周辺国のガボン、チャド、中央アフリカも兼轄しており、日本人にとっては未知なる魅力に溢れた地域への協力にも取り組んでいます。

私は、これまで、セネガル、ブルキナファソ、モロッコのJICA事務所で駐在をしてきました。アフリカ大陸で4か国目となるカメルーンでは、これまでの駐在で得られた知識や経験を生かし、微力ながらカメルーンの発展、日本とのより強固な関係構築に貢献したいと考えています。

引き続きJICAカメルーン事務所の活動に関心をお持ちいただき、応援いただければ大変嬉しいです。

カメルーン事務所
所長 影山 正