jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

2026年8月31日

「願いは忘れた頃に実現する」——近年、私自身にそのような出来事が続いています。前職の九州センターへの着任もそうでした。もともと九州への赴任を希望していましたが、「叶うはずがない」とすっかり忘れていた頃に実現したのです。

そして、今回はチリへの赴任です。これまでボリビア、ドミニカ共和国(およびカリブ海13か国)、グアテマラと、比較的開発支援のニーズが高い国々に赴任してきたため、経済発展の進むチリに赴任する機会はほぼないだろうと考えていました。しかし、学生時代に経済発展や受入態勢の充実していたチリへの留学を画策していたことを、今あらためて思い出しています。赴任が決まった際には、チリを代表する名曲“Si vas para Chile”(もしあなたがチリに行くならば)を思わず口ずさんでいました。偶然なことに、この歌で語られるラス・コンデス地区にJICA事務所は位置しています。

チリに対するJICA技術協力ではサケマス養殖や防災分野での成功が知られています。現在のチリは、単なる国際協力の受け手ではありません。日本との協力で培った知見や独自の発展の成果を生かし、自ら国際協力の担い手として世界へ展開しようとしています。私たちJICAには、チリの国際協力における「伴走者」としての役割が求められています。チリとの協働を通じてラテンアメリカや環太平洋地域が発展・平和を享受することが、巡り巡って我が国の利益にも資することを念頭に置き、JICAの役割を明確にして実行してまいります。

チリ国内への協力としては、防災やリハビリ、高齢者対策、環境、観光、武道(柔道、剣道等)などの分野で、引き続き日本の経験を伝えてまいります。さらに新たな取り組みとして、日本とチリの研究機関による地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)の推進や、日本企業の優れた技術・知見をチリの課題解決に役立てる民間連携事業(JICA BIZ)の展開にも力を入れてまいります。

JICA単体で達成できることには限りがあります。国の発展は、産官学が協力し、長期的な視点で取り組むことによって初めて実現します。チリにおいては、JICAの強みである「繋ぐ力」を最大限に発揮できるよう、これまで培った知見を総動員し、またチリで長く経験を積んだ同僚達の力を借りて任に当たってまいる所存です。

独立行政法人国際協力機構(JICA)

チリ支所長

山口 尚孝