コロンビアは南アメリカ大陸の北部に位置し、国土面積は日本の約3倍、人口は約5千万人で中南米ではブラジル、メキシコに次ぐ3番目の人口を有する国です。北部の海岸線は太平洋と大西洋に面し、内陸部はアンデス山脈が国土を横断し、首都ボゴタは標高2600mの高地に位置しており、その南はアマゾン地域に続く変化に富んだ国土です。主要な輸出産品にはエメラルド、石油、石炭などの恵まれた天然資源や、気候を生かしたコーヒー、カーネーションなどの切花があります。そしてそこに住むコロンビアの人たちは、明るく社交的な国民性に加え、とても勤勉で誠実な方が多いのが特徴です。豊かな国土と人材を有する発展の可能性を秘めた国だと思います。首都ボゴタやメデジンなど主要な都市はインフラ整備が進みIT技術の導入は日本よりも進んでいるところもあります。
一方で、コロンビアでは1960年代から約60年にわたり、反政府ゲリラ組織との国内紛争が続いています。2016年には最大のゲリラ組織であるコロンビア革命軍(FARC)との和平合意が成立し、当時のサントス大領領はノーベル平和賞を受賞しましたが、残念ながらその後も、複数のゲリラ組織との紛争は終結せず、現ペトロ政権は全面和平に向けた努力を続けています。その間、多くの市民が家族や友人を失い、また、国内避難民となり苦しい生活を強いられています。
そして、コロンビアのもう一つの深刻な課題は大きな格差の存在です。所得格差を示すジニ係数は0.55と世界で最も格差の大きい国のひとつとなっています。長年続く国内紛争の大きな原因の一つは格差による国民の不満にあることは否定できません。
このような課題を抱えるコロンビアにおいて、JICAは社会の格差是正に重点を置き、紛争被害者を始めとする市民の生活の安定と向上に取組みます。そして、気候変動や防災対策を支援し、更にはコロンビアの豊かな国土と人的資源の能力を生かした更なる発展を支援することで、持続的な社会づくりに貢献することを目指します。
今年2025年はJICAがコロンビアに事務所を開設して45年、ボランティア派遣を開始して40年を記念する年になります。これまで積み上げてきた協力の成果やコロンビアの人々との信頼関係を大切に、コロンビアの発展が格差是正を通じてより多くの市民の幸福と生活の向上につながるよう努めます。
2025年5月
JICAコロンビア支所長
山田章彦
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