所長あいさつ

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アフリカ大陸東部いわゆる「アフリカの角」に位置するジブチは、面積が四国の1.3倍、人口も100万を切る小国です。「世界で最も暑い国」とも形容されることが多く、盛夏の7月の平均最高気温は42度に上ります。見どころと言えば、国を東西に貫くタジュラ湾はサンゴ礁の宝庫で、ジンベイ鮫の回遊域でダイビングスポットとなっています。また、アフリカ地溝帯に形成されたアッサル湖は、アフリカ大陸の中で最も低標高地であり、湖水の塩分濃度は34.8%と死海を超えて地球上で最も高く、そこで自然に結晶する玉状の塩は芸術品のようです。

ジブチは小国ですが、背後に人口1億を超える内陸国エチオピアを擁しており、その外港としての機能を果たしていることから、国の経済成長率は2011年以降、港湾・流通関連事業が牽引するかたちで、507%と堅調に推移しています。近年、更に、外国資本や政府借款による港湾・流通・水・エネルギー分野での大型インフラ事業が展開されており、不安定なアフリカの角地域に位置しながら、政治的安定を保っているジブチは、雇用問題(失業率約60%)・人材不足、債務返済問題などの課題を抱えつつも、地政学的要衝としての特徴を生かした貢献と成長を続けています。

日本・ジブチの関係では、両国の国交は,1977年のジブチ独立の翌年から始まっています。1986年に対岸の南イエメン(当時)で発生した内乱では、在留邦人38名がジブチに脱出。1994年のイエメン内戦では緊急脱出した邦人75名がジブチ経由で帰国したという経緯があります。これを機に日・ジ両国の関係はいっそう緊密化し、1995年当時、人口増加の著しい首都のバルバラ地区に初めての中学校が日本の協力により建設されました。同校は福沢諭吉の名を冠し、「FUKUZAWA中学校」と命名され、現在は、生徒数3,000名に近いマンモス校となり、しかも当国屈指の成績優秀校でもあり、2013年の安倍首相の来訪時には同校を訪問するなど、両国間の友好の象徴となっています。このように、ジブチが内戦の最中にあった90年代にも日本が継続して協力を行ってきたことに対し、ジブチ側からは様々な機会に謝辞をいただいています。

JICAは2000年に、青年海外協力隊事業を展開する事務所をジブチに設け、2005年の技術協力協定締結後は、JICA事業全体を司る事務所となり現在に至っています。日本大使館は2009年3月の連絡事務所設置を経て、2012年1月に大使館を開設。また、ジブチとの関係において特徴的なのは、ソマリア沖・アデン湾の海賊対処行動に従事している自衛隊が、海外では唯一の拠点を置いている地であることです。海賊対処行動は2009年3月から開始されており、2011年6月には自衛隊の拠点が設置され常時200名規模の自衛隊員を抱えて現在に至っています。

このような状況下、JICAはジブチが抱える課題に対応するべく、これまで、ジブチ人の生活に直接的に寄与する社会インフラ整備を中心とした支援(学校建設、首都道路整備、首都飲料水供給、ごみ収集能力強化、テレビ番組制作設備など)を行ない、先方政府から高い評価を得てきました。青年海外協力隊員も2000年の派遣開始から計140名近くがジブチの人々と共に草の根ベースでの活動を続けてきており、厳しい気候条件下にも関わらず、真摯に活動する姿はジブチの各層から賞賛の声をいただいています。

現在の対ジブチ重点支援分野は、次の3本を掲げています。1)持続可能な発展のための都市基盤整備(「エネルギー自立化を目指してのアフリカ地溝帯での地熱開発」「流通強化に資する道路整備・維持管理体制強化」「海上輸送能力向上のためのインフラ支援」) 2)経済社会開発を下支えする人材の育成(「産業人材育成に資する理数科教育の質の向上」、各種分野での本邦・第三国研修) 3)地域の安定化努力強化(「海洋保安に資するジブチ沿岸警備隊の能力強化支援」、「諸スキームを通じた難民支援」)。これらの事業の適正実施により最大限の成果を発揮し、ジブチの発展に貢献できるよう支所員一同努めてまいりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

ジブチ支所
支所長 外川 徹