所長あいさつ

ジブチは、アフリカ大陸東部いわゆる「アフリカの角」に位置し、面積が四国の1.3倍、人口も約100万人の小国です。「世界で最も暑い国」とも形容され、盛夏の7月の平均最高気温は40度を上回り、内陸部ではそれ以上の暑さとなります。

国の東部から国土の中心部に向かって入り込む形で位置するタジュラ湾は、サンゴ礁の宝庫で、ジンベイ鮫の回遊域でダイビングスポットとなっています。また、アフリカ地溝帯に形成されたアッサル湖は、世界で最も低標高地(海抜マイナス153メートル)にある塩湖で、湖水の塩分濃度は34.8%と死海を超えて地球上で最も高く、そこで自然に結晶する玉状の塩は芸術品のようです。

ジブチは小国ですが、背後に人口1億人を超える内陸国エチオピアを擁し、その外港として機能しており、港湾・流通関連事業が牽引するかたちで毎年5~7%の高い経済成長率を維持しています(2020年はコロナ禍の影響で成長率は下がる見込みです)。

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近年、更に、外国資本や政府借款による港湾・流通・水・エネルギー分野での大型インフラ事業が展開されており、不安定なアフリカの角地域に位置しながら、政治的安定を保っているジブチは、雇用問題、債務返済問題などの課題を抱えつつも、地政学的要衝としての特徴を生かした貢献と成長を続けています。

日本・ジブチの関係では、両国の国交は,ジブチ独立の翌年の1978年から始まっています。1986年、1994年には、内戦状態となった対岸のイエメンから、計100名を超える在留邦人がジブチに脱出したという経緯があります。これを機に日本・ジブチ両国の関係はいっそう緊密化し、1995年当時、人口増加の著しい首都のバルバラ地区に初めての中学校が日本の協力により建設されました。同校は福沢諭吉の名を冠して「FUKUZAWA中学校」と命名され、現在は生徒数3,000名のマンモス校となり、当国屈指の成績優秀校としてジブチ政府の要人なども輩出しており、両国間の友好の象徴となっています。

このように、ジブチが内戦の最中にあった90年代にも日本が継続して協力を行ってきたことに対し、ジブチ側からは様々な機会に謝辞をいただいています。

JICAは2000年に、青年海外協力隊事業を展開する事務所をジブチに設け、2005年の技術協力協定締結後は、JICA事業全体を司る事務所となり現在に至っています。日本大使館は2009年3月の連絡事務所設置を経て、2012年1月に大使館を開設しました。また、ジブチとの関係において特徴的なのは、ソマリア沖・アデン湾の海賊対処行動に従事している自衛隊が、海外では唯一の拠点を置いている地であることです。海賊対処行動は2009年3月から開始されており、2011年6月には自衛隊の拠点が設置され、常時180名規模の自衛隊員を抱えて現在に至っています。

このような状況下、JICAはジブチが抱える課題に対応するべく、これまで、ジブチ人の生活に直接的に寄与する社会インフラ整備を中心とした支援(学校建設、首都道路整備、首都飲料水供給、ごみ収集能力強化、テレビ番組制作設備など)を行ない、先方政府から高い評価を得てきました。青年海外協力隊員も2000年の派遣開始から計150名近くがジブチの人々と共に草の根ベースでの活動を続けてきており、厳しい気候条件下にも関わらず、真摯に活動する姿はジブチの各層から賞賛の声をいただいています。

現在、JICAジブチ事務所では、次の3つの分野で重点的に支援を実施しています。

今後も、様々なアクターと連携しながら、これらの事業を推進していくことで最大限の開発効果を発現し、ジブチの発展及び日本とジブチ両国の関係強化に貢献できるよう事務所員一同取り組んでまいります。

ジブチ事務所
所長 金田 雅之