放送大学との共同制作番組「日本の近代化を知る7章 -第5章 日本の近代化と教育-」を視聴して(2020年9月)

JICA開発大学院連携(JICA-DSP)では、日本の近代化の歩みと国際協力の重要性を留学生に理解してもらうことを目指し、放送大学と共同で講義番組「日本の近代化を知る7章」を制作しました。
JICA-DSPに参加するカンボジア出身のリー・ソクナイさんと、シリア出身のセイマー・ジディアが、番組から学んだことについて語りました。

日本の近代化を学んだ貴重な体験

氏名:リー・ソクナイさん(Ms. Ly Soknay)
出身国:カンボジア
留学先:広島大学大学院 人間社会科学研究科 国際教育開発プログラム
JICAコース:子どもの学びの改善(2019年度)

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日本留学のきっかけ

JICA-DSPで日本に留学する前、リーさんはカンボジアの高校で化学の教師をしていました。以前から日本の文化に興味を持っており、JICA-DSPに応募しました。

「JICA-DSPを通じて、広島大学では最新の教育メソッドについて学んでいます。どれもカンボジアとは異なるもので新しい視点を得ることができます。私にとって日本は素晴らしい国です。精神性も、食べ物も、テレビ番組も大好きです」。

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「日本の近代化を知る7章」の特徴

リーさんは、講義番組「日本の近代化を知る7章」について興味深い見解を述べています。「番組を通じて、日本の近代化の歩みにおけるさまざまな段階について詳しく知ることができました。日本の教育システムの段階的な近代化を扱った第5章が素晴らしいと感じています。この章では、戦後の日本の教育システムの発展が、複数の国の影響を受けていること、また日本はグローバルな教育システムを取り入れた上で独自の改善を加えてきたことが強調されています」。

帰国後の抱負

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リーさんは、JICA-DSPで学んだことを母国で活かして行くことに期待を膨らませています。帰国後は、カンボジアの中等教育の質を改善することに貢献し、職場にオンライン教育システムも導入したいと考えています。この番組で学んだことも必ず役に立つと考えており、次のように述べています。「JICA-DSPを通じて得られる経験は期待通りで満足しています。どのプログラムも、日本の文化や教育を理解する上でおおいに役立っています」。リーさんは、今後も日本が、開発途上国の社会と経済の発展に協力して行くことを願っています。

日本からシリアへ:開発学を通じて世界を近づける

氏名:セイマー・ジディアさん(Mr. Samer Zydia)
出身国:シリア
留学先:広島大学大学院 先進理工系科学研究科 理工学融合プログラム
JICAコース:シリア平和への架け橋・人材育成プログラム(JISR)(2019年度)

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日本留学前

日本に留学する前、セイマーさんはダマスカス大学で建築学の学士号を取得し、住宅復旧と史跡計画で修士号を取得した後、建築設計事務所のシニアプロジェクトアーキテクトとして働いていました。セイマーさんは、国際関係学に興味を持ったきっかけを次のように述べています。「故郷のシリアでは、10年前から紛争が絶えません。危機の原因を知り、シリアの状況を様々な視点から理解するため、ほかの国と比較してみることが大事だと考えました」。

留学先に日本を選んだ理由

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セイマーさんによると、シリアを含む西アジア地域では、日本がアジアでもっとも「進んだ」国と考えられています。また、シリアと日本には実は多くの共通点があるということです。セイマーさんは、日本の戦後の復興に感銘を受け、より詳しく学びたいと感じています。

「日本の近代化を知る7章」の特徴

セイマーさんは、講義番組「日本の近代化を知る7章」を視聴し、内容が非常に充実していた点を評価しています。「第5章の日本の近代化と教育は深い内容でした。明治維新においては、西欧文化を学ぶための外交団派遣、教育制度の導入、有能な人材を国内で育成するという3つの段階を経て進められこれらは素晴らしいアプローチです。教育の近代化や戦後に起こった社会の変化など、日本を支えた人的資源の開発ついても詳しく学ぶことができました」。

今後について

セイマーさんは今後も日本に滞在し、さらに学ぶ予定です。建築家としての立場からもJICA-DSPで提供されるプログラムは非常に有益だと考えており、学んだことを母国の将来に活かしたいと望んでいます。「テクノロジーは、多くの可能性を広げてくれます。いつか、JICAや日本の大学と協力できる日が来ることを楽しみにしています。」