9年生から12年生の数学に関するベースライン調査が、4月19日から24日にかけてアディスアベバの中等学校で実施されました。

2021年5月7日

エチオピア連邦教育省(MoE)と国際協力機構(JICA)は、2019年より「科学技術のための算数・数学理解プロジェクト(通称MUSTプロジェクト)」を実施しています。MUSTプロジェクトを通してJICAはMoEの算数・数学のカリキュラム文書改訂および教科書開発を支援しています。その活動の一環として、2021年4月19日から24日にアディスアベバ市教育局(AAEB)と共同で、9年生から12年生の数学に関するベースライン調査を実施しました。調査は、同市教育局が都市部・郊外などの立地を考慮して選定したアディスアベバ市内の6つの高校で実施されました。

調査の主な目的は、高校の数学における授業の実態と生徒の学力の現状を把握することです。この目的のために、MoE、AAEB、MUSTプロジェクトのメンバーによって形成された調査チームが、学力テスト、数学教員向けのアンケート調査とインタビュー、そして、数学の授業観察を行いました。今回実施した学力テストは、他の学力テストとは異なり、初等レベルの問題を多く出題しています。これは、高校生が初等レベルの算数をどれだけ習得しているかを確認するためです。このテスト結果は、高校数学のカリキュラムの編成に関してだけでなく、小学校算数のカリキュラムの編成に関しても、大きな示唆を与えることになると期待されます。

教員へのインタビューから見えてきたことの一つは、高校教員が割り当てられた授業時間内にシラバスで指定されたすべての単元をカバーするために、学習内容の要点だけに焦点を当てたり、授業で取り上げる教科書の例題や演習問題の数を絞ったりして苦労しているということでした。また、大多数の教員は、改訂される新しい教科書の内容が適切にかつ正確に構成されることを望んでいることもわかってきました。この調査の分析結果は、2021年5月に教科書執筆者などの教育関係者と共有される予定です。

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アディスアベバ市の中等学校での学力テスト実施の様子

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アディスアベバ市の中等学校での数学の授業の様子