革素材の品質改善のため教材動画の撮影を行いました

2021年8月31日

エチオピア国産業振興プロジェクト(輸出振興)(第2フェーズ)では、皮革製品の輸出額増加を目標としており、そのための活動の一つとして、エチオピアの革製造工場(タンナー)への技術支援を行っています。COVID-19の流行により、日本人専門家がエチオピアに赴いて技術指導を行うことが難しいため、日本のタンナーの技術を映像に収め、教材動画を制作することとしました。

エチオピアの羊からとれる原皮には傷が多く、革になめされてもその傷が目立ってしまい、製品としての価値が上がらないことが大きな課題となっています。各タンナーでは傷のついた原皮の占める割合が非常に大きく、多くの在庫を抱えてしまう原因となっていることから、プロジェクトが支援しているタンナーよりアップグレード方法に関する技術移転の要望がありました。そのため、今回の教材動画では、傷を目立たなくする仕上げ技術の手法を教授することを目的としました。

8月4日、埼玉県草加市で羊革などの製造を行っている伊藤産業(株)に協力いただき、映像の撮影を開始しました。同社の代表取締役である伊藤達雄さんは、かつてエチオピアのタンナーを何度も訪れ、羊の革を買い付けていたソフトレザーの専門家です。今回は、傷のある仕上げ前の革(クラスト)をエチオピアから取り寄せ、その素材や傷の程度にあった仕上げ方法を考案いただきました。大きなドラムを回転させる染色から始まり、細かな確認工程を経ながら、様々な機械や技術を使って革が仕上げられていく様子を、次々と映像に収めていきました。日本の夏の灼熱の中、伊藤さんをはじめ工場のスタッフの皆さんは汗だくになりながら工場での撮影に協力してくださいました。革づくりは何日もかかる工程です。8月下旬に残りの工程の撮影を行い、教材動画の完成後は、タンナーを対象に本教材を用いたオンライン・ワークショップを実施する予定です。

【画像】

染色用のドラム前での撮影の様子

【画像】

乾燥室での撮影の様子

【画像】

仕上げ前の革。背骨のラインに沿って多数の傷がある。