四つの国立大学の数学教科書開発者がMUSTプロジェクトによる9~12年生数学教科書ドラフト改訂のためのワークショップに参加しました

2021年11月1日

教育省とMUSTプロジェクトの共催による3日間のワークショップが2021年10月16日から18日にかけてアダマのエギュゼクティブ・ホテルで開催され、全国四大学(アワサ大学、バハールダル大学、ジンマ大学、アジス・アベバ大学)から18人の高校数学教科書開発者が参加しました。18人の中には8人の執筆者の他に、編集者、イラストレーター、デザイナーが含まれています。MUSTプロジェクトとは「エチオピア国科学技術のための算数・数学理解プロジェクト(The Project for Mathematical Understanding for Science and Technology)」のことで、エチオピアが今進めている教科書改訂事業において新しい高校教科書と教員用指導書の質を担保することを狙いとしています。

このワークショップの目的は、9月に完成したドラフト教科書に対してMUSTプロジェクト・チームが提出したコメントに関して説明をし、それに従って修正作業をすること、および改訂作業が10月の新教科書試行開始後も2022年5月までモニタリングを通じて継続して続けられることを理解してもらうことにあります。ワークショップではまずMUSTチーム・メンバーが教科書をさらによくしていくためのステップを提案しました。続くセッションではドラフト教科書に対して出されたコメントの中から典型的なものを紹介し、その趣旨を説明したあと、参加者は担当した学年別のグループに分かれて修正作業を行ないました。

さらに2日目には「教科書のユニット化」の考え方が新しく提案されました。これは教科書の中身の流れを「活動」、「定義」、「例題」、「練習」から構成されるようにし、授業1コマごとにそれらが繰り返されるようにしようとする考え方です。このようにすることで授業の流れが標準化・ユニット化され、教師には教え易く生徒には学び易い教科書になります。さらに、毎時間の授業の中に必ず「練習」が入ってきますから、生徒が自分で考える時間が授業の中で確保されることになり、学習効果の向上が期待できます。この新しい提案に対して、教科書開発者は理解を示しつつも、実際にそうするとなると改訂に多くの時間を要することになり、果たして所与の条件の中でできるのかという疑問を抱く人が多くいました。しかし、続けてのセッションの中で実際の例を使って教科書の構成を組み直す演習をした結果、その疑問は解け、今後、モニタリングを通じて授業観察をしながら教科書を「ユニット化」していくことに意欲を示してくれるようになりました。

この結果を受け、教育省はアワサ大学(今回の教科書開発を一括受託した国立大学連合の幹事大学)とさらに交渉を続け、教科書開発者がMUSTの行なうモニタリングに参加できるようにする仕組みを工夫することになりました。

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JICAエチオピア事務所広瀬恵美次長の開会挨拶。

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自己紹介をする教科書開発者。

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座標軸の表記様式の統一に向けて議論。

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MUSTのコメントに基づく教科書ドラフトの修正作業。

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「多項式の加減」を例に、シラバスから単元配分計画を作る。

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「三角比」を例に、ドラフト原稿をどう組み替えたら「ユニット化」できるかを考える。

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教育省による閉会の挨拶。