所長あいさつ

ガボン共和国はアフリカ中部の大西洋岸に面し、国土面積は日本の約3分の2、アマゾン河流域に継ぐ世界第2位の熱帯林を擁するコンゴ盆地に位置しています。国土の85%が熱帯雨林で覆われ、チンパンジーやゴリラ、ゾウなどの動植物が生息するなど豊かな自然に囲まれた国です。

また、ガボンは世界でも32~35番目に位置する産油国で、人口が約217万人(2019年、世銀)と少ないこともあり、一人当たりGNIは約7,210米ドル(2019年)、人間開発指標(UNDP)も189か国中119位(2019年)と他のサブサハラアフリカ諸国と比べ、比較的高い水準にあります。このため、周辺諸国からの外国人労働者が多いことも特徴です。

他方、地方ではインフラ整備の遅れや農業技術の未発達等により生産性が低く、依然として都市部と地方部の貧富の差は大きいままです。このため、アリ・ボンゴ現大統領は石油関連産業依存からの脱却と2025年までの新興国入りを目指した「台頭するガボン」政策を打ちだし、インフラの整備、産業多角化・加工産業育成(工業化のガボン)、環境保全(緑のガボン)、サービス産業育成(奉仕のガボン)を推進しています。

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ガボンへのJICAの協力は、2000年に水産専門家が派遣したことに始まります。2005年にはJICAオフィス(現ガボン支所)が開設され、青年海外協力隊員初代6名が派遣されました。以後は順調に事業を拡大し、一時は30名を超えるJICA海外協力隊が派遣され、技術協力も感染症関連や森林保全関連のプロジェクトや、ゴリラ観察のエコツーリスム・プロジェクトなどを実施しています。またこのほか日本への留学生や研修員を毎年派遣。無償資金協力では、水産無償による零細漁民センター(CAPAL)のフォローアップなどを行っています。

しかしながら、2020年3月に新型コロナ感染が発覚し、支所長を残して協力隊含む全関係者が退避することとなり、事業が一時中断しました。その後、ガボン政府の努力によりコロナ第一波は収束。12月までにすべての関係者の渡航を再開しました。2021年9月現在、海外協力隊13名、専門家5名(感染症関連プロジェクトおよび母子保健技術顧問)が活動しています。また、エコツーリズム・プロジェクトの次フェーズ開始、コロナ対策支援資機材の供与、また民間企業への支援(ウィルス迅速検査機の販路拡大)なども予定されています。

今から約20年前、海外協力隊派遣に向けた事前調査のため、ガボンを訪れた経験があり、思い出深い土地です。これまでの10年にわたるアフリカでの経験を活かし、少しでも国造りのお役に立てるよう邁進したく思いますので、なにとぞ宜しくお願いいたします。

2021年9月
JICAガボン支所 梅本 真司