ごあいさつ

ガボンはアフリカ西海岸、大西洋に面し、ちょうど赤道を跨いだ、日本の約7割、本州よりやや大きい程度の国土面積を持つ国ですが、「地球の片肺」と称されるくらい二酸化炭素吸収・酸素供給にとり重要な、広大な森林地帯であるコンゴ盆地に属します(もう一方の肺はアマゾン流域)。国土の85%が熱帯雨林で覆われ、人口流入が始まって700年経った今も、マルミミゾウや、ゴリラ、チンパンジー、マンドリル、バッファロー、カモシカ類等が住む深い熱帯雨林が、まだまだ人の侵入を阻んでいます。森林とラグーンとで彩られた海岸地帯は、やはり人の住む場所が限られ、ゾウやカバが海を泳ぎ、世界第2位のウミガメの産卵場となり、沖には鯨が定期的に里帰り出産に来るという、多くの自然が残っているところです。

ガボンのもう一つの特徴は、10年ほど前までサブサハラアフリカ第3位の産出量を誇り、世界でも32〜35番目に位置する産油国で、ここから得られる収入と、人口が約160万人と小さいことも手伝って、一人当たりのGNIが約10,000ドルと、他のサブサハラアフリカ諸国に比べ格段に経済指標が高いことです。そのお陰なのか、保健と教育といった基礎的人間ニーズ(BHN)も、開発途上国の中では比較的良好な状況にあります。しかし、全国民が豊かな暮らしをしているとは必ずしもいえません。この国の高い経済状況に引きつけられて周辺諸国からの外国人労働者の流入が急増し、また地方ではインフラの遅れや農業技術の未開発のため生産性は低く、住民の生活向上のためにやるべき課題はまだ多く積み上がっています。幸い政治は比較的安定し、石油関連産業依存から産業の多様化を目指した政策を打ち出しています。

当国への実質的なJICAの協力は、2000年に水産専門家が派遣されたことに始まります。2005年には初代隊員6名により青年海外協力隊員派遣が開始し、同時にJICA支所が開設されました。現在青年海外協力隊員及びシニア海外ボランティア25名が全国に展開して保健(HIV、母子保健等)、初等教育、水産(内水面養殖等)、農業(野菜等)、柔道等の分野で活躍中です。技術協力プロジェクトでは温室効果ガス排出削減に必要な森林資源データベース整備が進行中、今年からはエボラ熱等ウイルス性疾患対策プロジェクトがあのシュバイツァー博士が病院を開いたランバレネで始まります。

日本でも、国内や世界でのアフリカ人の活躍と、資源や市場としてのアフリカのダイナミズムが、少しずつ日本人の目を引くようになっていますが、面積も人口も小さなガボンにも協力隊経験者や日本人援助関係者、そしてガボン人の間でもJICA帰国研修員や日本人と交流経験のある親日家が増え、私たちも両国の絆を強める協力をこれからも進めてまいります。

2016年5月 ガボン支所 山浦 信幸