所長あいさつ

ガーナといったらみなさん何を思い浮かべますか?恐らく多くの方々は、ガーナといったらチョコレート、野口英世、そして最近ではサブサハラ・アフリカ随一の民主主義のモデル国といったところではないでしょうか。今、ガーナは大きな変革を遂げつつあります。2010年末に石油が産出し、その勢いをかって2011年には経済成長が年率15%にもなりました。2017年には更に新しい油田からも生産を予定しており健全なマクロ経済運営が維持されれば、中期的に見て安定した経済成長が見込まれます。仕事のし易さを測る世銀のDoing Business指標(2015年)では、ガーナは西アフリカでナンバーワンでした。西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の枠組みの中、ガーナもその軸の一つとなって、人モノ金の移動スピードが一層速まり、域内のダイナミズムが進んでいます。

ガーナはこのようにダイナミックに発展する一方で、貧富そして都市と地方の格差が急速に拡大し、また妊産婦死亡率や5歳未満児死亡率といった保健衛生上の基礎的な問題も抱えています。カカオ、金、石油等の第一次産品への過度の依存を脱却するために進めようとしている産業の多様化もなかなか進展しません。近年は、降雨不足等により電力危機も顕在化しています。今のガーナは、低所得国から真の中所得国への変革"Transformation"を遂げる上で、開発の苦しみを経験しているのでしょう。

ガーナにおいて、JICAは日本政府の国別援助方針に沿って6つの分野に支援をしています(農業、経済インフラ、保健、教育、行財政、民間開発)。その中でも特に農業、経済インフラ、保健の3つが最大重点分野です。農業分野では、近年急速に需要を拡大しているコメを対象に小農の生産性と生計の向上を核にしつつ、近年はバリューチェーンにも支援を展開し農業機械振興やアグリビジネス展開にも支援を行っています。経済インフラでは、"Transformation"のためにはまだまだ不足している道路、港湾をはじめとした運輸交通、および電力などのインフラ整備を支援しており、2016年には15年ぶりとなる円借款事業の再開を行いました。保健分野では、全ての人が適切な保健サービスを受けられること'Universal Health Coverage'の達成を目指し、母子保健の向上と共に野口記念医学研究所を柱とした疾病のサーベランス整備と人材育成を支援しています。これらの個々の分野を横断するものとして、JICA自身を「開発の触媒(Catalyst)」と位置づけ、近年ではPPPのアプローチを強化し、民間企業、研究機関、NGOs等の多様なプレーヤーと連携も強化しています。また、草の根レベルの協力として実施している青年海外協力隊事業は2017年にガーナでの事業開始から40周年を迎え、JICAの協力のひとつの節目となりました。

ダイナミックなガーナ。そして、2017年にガーナは独立60周年と同時に日本との国交樹立60周年を迎え、日本との関係が更に深化するガーナ。共にJICAガーナもダイナミックに変革しながら、良い援助を行いガーナの社会経済の発展に尽くします。

ガーナ事務所ではシエラレオネとリベリアも兼轄しており、保健やインフラ分野などのポスト・エボラの支援に力を入れています。

JICAガーナ事務所長 星 弘文