事務所長発!グアテマラからのお便り Vol.3

2023年2月22日

受け継がれる物語 生産者自身が学び、成長するものづくりネットワーク-Mayakat・グアテマラ

今回のVol.3は当事務所の新野企画調査員との共著、特別版としてお届けします。

「私たち1人1人の人生、そして作り出す商品にヒストリーがある。そのヒストリーを知って、商品を手に取ってほしい。」そう語るのは、Mayakat代表のクリスティーナ氏である。

クリスティーナ氏が代表を務めるMayakatは、2017年~2020年にかけて実施された個別専門家事業「一村一品運動広域アドバイザー」において、グアテマラ市OVOP委員会という名の元、これに係る研修や展示販売会に参加し、専門家の指導を直接受けながら、OVOPに係る基盤の知識を身に着けるとともに、それを実践してきた。2020年に、グアテマラ市内、歴史地区に店舗を構えることとなったことを機に、OVOP委員会としての活動から離れ「Mayakat」(Mayaはマヤ文化そしてグアテマラ国内を指し、Katはナワトル語でネットワークを意味する。マヤネットワークという意味となる。)として、独立した。店舗立ち上げ時に、JICAは必要最低限の支援を行った。その後も、出張者が来訪時に土産購入先として訪問したり、専門家が店舗での陳列や商品のパッケージなどブランディングの観点からアドバイスしたり、JICA職員も頻繁に訪問したりと、繋がりを大切にしている場所だ。

「私自身、ここまで成長できたのはOVOPとJICAの研修に出会うことができたから。過去に学んだだけで終わらせるのではなく、新たな仲間たちを積極的に受入れ、自分が学んできたことを共有したい。皆で成長していきたい。」と語る。。

現在、Mayakatは行政や国際機関からの直接的な支援は一切受けていない。しかし、クリスティーナ氏そして、協働代表者のJuan氏と共に、初期グループメンバーが自分たち自身の力で経営戦略を確立させた。今では、グアテマラ市だけでなく、全国の生産者からの製品を受入れ、販売している。新規参入したい生産者に対してはマニュアルを配布し、それに同意した者のみが販売を許可される。また、新しく加入した生産者には、グループ内講習を行い、OVOPの基礎知識、収支計算等を全てのメンバーが身に着けられるよう、取り組んでいる。

また、販売方法についても、店舗販売だけでなく、展示販売会への参加や、オンライン販売も行っている。特に注目したいのが、Face BookやInstagramでのLIVE機能を用いた生中継販売会である。生中継を行う際、生産者は自分自身がカメラの前に立ち、彼ら自身の声で商品説明と、その裏にあるヒストリーを語る。

「ヒストリーを語ることにより、商品にさらに付加価値が付く。私たちは、それを学び、実践している」それは、1人1人にヒストリーがある、彼女たちならではの強みだ。

例えば、ある女性は娘が多くの食品アレルギーを持つことが分かり、娘が、少しでも楽しんで食べ物を食べて欲しいとの願いから、地元産果物を使用して、ドライフルーツの製造を始めた。「娘がアレルギーを気にせず、食べることができる姿が見られることが嬉しい。同じ悩みを持つ人も、持たない人も、私の製品を好きになってくれれば」と、語ってくれた。現在は、ドライフルーツを基にした、フルーツティーも販売している。

他の女性は、祖母の代から受け継がれている、100%自然食品のリンゴ酢を販売している。彼女は販売する際に、いつも明るく祖母の話、どうして自分も係るようになったのかを話してくれる。

我々は、彼女たちの取組みこそが、事業終了後にも持続可能な形として生きている姿のロールモデルであると考えている。

ぜひ、グアテマラに訪れた際には、彼女たちのヒストリーを聞きに、心がこもった温かい製品を手にとるために、一度「Mayakat」に立ち寄ってみてください。

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Mayakat店内の様子

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商品例

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不定期で、展示販売会へも参加している

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メンバーの皆さん。生中継販売の様子