日本人専門家(行政改善/業務調整)(2021~2023年) 関川 実来

2022年1月20日

2021年11月に地域警察プロジェクトの専門家としてやって来ました、関川実来です。大好きなグアテマラには今回で3回目の赴任となります。プライベートでは観光客や短期語学留学生として何度も訪れている思い入れのある国です。

最初にこの国を訪れたのは大学1年生の春休み。スペイン語の学習経験はあったものの、話すことができなかったため、思い切って一人でラテンアメリカの地に足を踏み入れてみました。それからは現在に至るまでスペイン語の世界にどっぷり浸っています。世界遺産の街、古都アンティグアでの2か月間の生活は語学の上達のみならず、私の価値観や将来のビジョンを大きく変えるきっかけを与えてくれました。グアテマラの貧富の差に強い衝撃を受け、『この世界をなんとか変えたい!』と熱い想いを抱いた当時の私。それから約20年の月日が経ちましたが、その想いは今も変わらず、国際協力の世界に身を置きながら日々奮闘しています。

グアテマラシティは程よい都会の割に緑が多く、気候も穏やかな首都です。素朴で温かいグアテマラ人に囲まれ暮らす生活は住み心地がよいものですが、治安が悪い点はこの国で生活を送る上でのマイナスポイントと言えます。日本では当たり前である後ろを振り向かず自由気ままに散歩することや、子どもが徒歩で通学し、放課後には外で元気に友達と遊ぶことは今のグアテマラでは現実的ではありません。

これから2年間、私が調整役として従事する地域警察プロジェクトの長期的なゴールは、この国の治安を改善し、安心して暮らせる国にすることです。首都とその近郊で勤務する2,500名近くの警察官に、地域住民や地方行政と共に協力しながら地域の治安を守る手法を学んでもらい、現場で実践することにより、その成果を感じてもらうことがプロジェクトの直近の目標です。地域住民に丁寧かつ親切に接することで、住民も警察官に対して心を開き双方に信頼関係が生まれるはずです。慢性的な予算不足に悩む警察に対し、協力を申し出る市役所やコミュニティが現れるかもしれません。子どもを対象とした防犯教室や交通安全教室を実施することで、子どもからは憧れの眼差しで見られるようになるでしょう。このような変化の積み重ねが、犯罪者やギャング集団にとって住みづらい環境や犯罪の起こりにくい社会を作り出していくのです。

プロジェクトとして取り組むべき課題は山積みですが、与えられた期間の中で一歩ずつ着実に前に進み、少しでも多くの成果と足跡を残していきたいです。また、大学生の時に感じた使命感を今こそ大切にし、国際協力の道に導いてくれたグアテマラに恩返しをするつもりで、専門家としてできることを全うしていきます。