JICA地球ひろば開発教育メルマガ 2016年10月号

Q&A「何とか周囲を巻き込みたいのですが、孤独感を感じます。何か良い方法はありますでしょうか?」

現場の先生からよく聞く「授業」「参加型学習」「学校の中」等に関する悩みや疑問をQ&A形式でご紹介いたします。悩み・疑問解決の一例としてヒントにしていただけたら幸いです。今回のQ&Aは、指導者の「孤独感」についてです。

Q:質問

開発教育・国際理解教育を実践していますが、他の先生方から理解されているか不安です。何とか周囲を巻き込みたいのですが、孤独感を感じます。何か良い方法はありますでしょうか?

A:回答

学校外の研修に行くと仲間がいるが、職場では開発教育ネタで共感できる仲間がいない…
開発教育・国際理解教育関係の研修などで多く聞く声です。今回は、周囲の巻き込み方のヒントについて考えていきたいと思います。

開発教育・国際理解教育の内容は、学習指導要領に記載されている内容と一部合致するものの、学校教育の中で決して「王道」ではありません。よって以下のような状況を経験する先生方も少なくないようです。

  • 教科単元の中で何とか開発教育的な要素を入れて実践したが、生徒からは入試に関係あるのかと突っ込まれた。前任校では問題なかったのに…
  • 周囲の先生から「一体なにをやっているのか」と、冷ややかな態度をとられている
  • うちのクラスだけ大盛り上がりで、他のクラス担任からは嫉妬に近い嫌味を言われる
  • グローバルイシューについての学習機会が限られている。学校を挙げて「国際教育」を推進しているはずなのに…

「周囲の目など気にせず自分の信念を貫け!」は、言うは易しです。何とか理解者や応援者を作りたいところです。

学習者の「変化」で理解者、応援団を

教育の目的の一つは、知らなかったことを知る、わからなかった箇所がわかるようになる、できなかったことができるようになる、視野が広がる、違う考え方に出会う等、学習者に「変化」をもたらすことだといわれます。開発教育・国際理解教育の実践によって学習者に何らかの変化があれば、それを発信すると良いかもしれません。発表会や論文などではなくても、職員室での会話や学級通信など身近なところから、とにかく実績と成果を「学習者の変化」の視点から発信するが一案です。

開発教育・国際理解教育 学習者の変化一例

  • グループでの話し合いが好きになった
  • みんなの前での発表に慣れてきた
  • 外国に興味を持つようになった
  • 視野・価値観が広がった
  • 世界の課題を自分事として考えるようになった
  • 将来の夢(進路)が決まった

他の先生の「やる気スイッチ」を探す

自分がやっていることを理解してくれないと嘆く前に、周囲の先生方の授業に関心を寄せてみるのも一案かもしれません。その上で、先生方の「特技」や「関心」に開発教育・国際理解教育の要素をマッチングする方法を考えて提案すると良いコラボができることがあるようです。以下は一例です。

  • 音楽の先生と一緒に、各国の楽器を使って運動会の応援ができた
  • 英語の教科書に地球の課題を扱う単元を見つけたので、自分の授業(社会)でワークショップをして深めることができた
  • 家庭科の先生と相談して、各国料理を作ることでプチ異文化理解ができた
  • 国語の先生がディベートをするというので、題材として「児童労働」を扱ってもらった
  • 数学(算数)の時間に、各国のお金(通貨)を使って換金(おつり計算)をしてもらった

一朝一夕でできることではありませんが、周囲の先生方と協同するヒントになれば幸いです。

実践例「教科横断による協働プログラム」どのように巻き込んだのか?!
岡山市立京山中学校(実践時) 教諭 竹島 潤(代表)

竹島先生は他教科の教員4名と協働して、教科横断による協働プログラムを実施されました。その取り組みにあたり「他の先生を巻き込んだきっかけ」や「どのように巻き込んだのか」、「協働した先生方のご感想」などについて詳しくお聞きしました!

詳しくは以下より是非ご参照ください。

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